種別 | 論文 |
主題 | モルタル中の鉄箭腐食に及ぼす海水成分の影響 |
副題 | |
筆頭著者 | 田代 忠一(山口大学) |
連名者1 | 後藤 誠史 (山口大学) |
連名者2 | 香西 健市 (山口大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 481 |
末尾ページ | 486 |
年度 | 1988 |
要旨 | はじめに コンクリートの需要が増し、その使われ方が多様化する中で、海砂の使用、各種混和剤の使用が増し、鉄筋コンクリート中の鋼材腐食と防食に関する研究は数多く行われている。すなわち、Cl-イオン、SO4--イオン、02等、ペーストあるいはコンクリート中での物質の移動に関する研究やこれに基づくコンクリートの改良、又、鉄筋自身の表面の樹脂塗装の研究、さらには、各種イオンによる発錆とその機構の解明を目的にした電気化学的測定や、SnO2やZnO添加による防食対策などが行われている。溶液のpHは鋼材腐食の目安となり、4以下で急激な腐食、溶解が起こり、10以上ではpHが高くなるに従い次第に腐食は小さくなる。しかし、このような高pHの状態でもCl-イオン、SO4--イオン等存在すると、不動態被膜を局部的に破壊し、孔食が生じる。そして、貴な電位をもつ不動態被膜と卑な電位をもつ金属間で電池を形成し、腐食を増進させると言われている。本研究では、海水中の各種イオン成分と濃度が、鉄筋の腐食に対し、どのように相互作用するか、また、その際減水剤がどのような影響を与えるか検討することを目的とし、実験を行った。Cl-イオン、SO4--イオン、CO3--イオン、Br-イオンを海水中濃度に模して、単独又は複数イオン種を添加し、又、減水剤としてナフタレンスルホン酸塩系、リグニンスルホン酸塩系のもの(1983年頃の市販品)をも用い、それらが添加された時の鉄筋腐食の状況を主に腐食面積率の観察、自然電位の測定により、検討した。 結論 海水成分イオンがモルタル中の鋼材腐食にどのように関与しているか、Cl-イオン、SO4--イオン等をそれぞれNa塩、K塩、Mg塩、Ca塩等で海水濃度を添加した各種モルタルを用い、鋼材腐食に関連して、自然電位の測定、発錆状況を肉眼観察し以下の結果を得た。またこの際、減水剤がどのような影響を与えるかも合わせて実験を行った。1.水セメント比を一定にしたモルタルに減水剤を加えた場合、自然電位にはそれほど変化がなかったにもかかわらず、鉄筋の発錆に大きな影響があった。2.海水中Cl-イオンは最も濃度の高い成分であるにもかかわらず単独では発錆が少なかったが、SO4--イオン共存の場合などには著しい発錆が見られた。3.SO4--イオンは海水濃度程度では単独で添加しても、自然電位にも発錆状況にも変化を与えず、約−200mVであった。4.上記3の場合、減水剤の影響もほとんど現れない。5.Cl-イオンは海水中の主陰イオンであるので、この添加により自然電位はほとんど支配され−400mV〜−500mVと低下した。6.Cl-イオンが存在する中でSO4--イオンの少量の添加は自然電位に若干の影響を与えるように思われた。 |
PDFファイル名 | 010-01-1085.pdf |