種別 | 論文 |
主題 | 鉄筋の電気防食法に関する基礎的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 武若耕司(鹿児島大学) |
連名者1 | 峰松敏和(住友セメント技術開発センター) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 511 |
末尾ページ | 516 |
年度 | 1988 |
要旨 | まえがき コンクリート構造物における塩害の顕在化は、膨大な社会資本の崩壊を予測させ、コンクリートの信頼性を失わせる原因となった。そこで我が国では、1983年、諸外国に先駆けてコンクリート中の鉄筋防食方法の具体的な手法を盛込んだ設計指針として、日本コンクリート工学協会より「海洋コンクリート構造物の防食指針(案)」がまとめられ、塩害対策についての基本的な考え方が固まった。その特徴は、コンクリート中の鉄筋の防食に対してコンクリートのみを防食材とみなすだけではなく、より積極的、より直接的な防食方法いわゆる、「第2種防食方法」の適用を検討したことである。そして、この中で、工ポキシ樹脂塗装鉄筋等とともに優れた防食方法として取上げられたものに電気防食法がある。この電気防食方法は、鋼材の腐食反応形態そのものに関与しこれを抑制する方法であるため、海洋に建設される鋼構造物には比較的古くから適用の実績があり、コンクリート構造物の塩害対策としても信頼性の高い防食方法と成り得ると予想できる。また、この方法は、新規構造物への適用のみではなく、塩害を受けた既存構造物の補修方法としても適用が可能であるという点でも注目される。しかしながら我が国の現状を見ると、エポキシ樹脂塗装鉄筋あるいはコンクリート表面被覆等に関する検討が活発に行なわれているのに比べて、電気防食の実用化に関する検討は極めて少ない状況にある。そこで以上のことを鑑みて、本研究ではコンクリート構造物における電気防食法の実用化を目的とし、その際に必要となる基礎資料を得るための諸検討を行った。 まとめ コンクリート構造物の塩害対策の1つとして電気防食の実用化を検討し、次のような結果が得られた。1)カソード防食を行う場合の鉄筋の設定電位は、新規構造物に対して約−550mVより卑にまた、補修用について−800mVより卑とする必要がある。一方、卑変の下限値は鉄筋付着性や経済性で決まるが、少なくとも今回の検討範囲では、−1200mV 程度までは大きな問題は生じないと予想された。2)防食性を電流量で判断する場合には、鉄筋電流密度10μAが1つの判断基準となる。3)上記の設定電位の範囲では、通電によって生じる鉄筋とコンクリートの付着性低下は、構造上の問題とはほとんどならない。4)対極に非腐食性金属メッシュを使用することによって、防食電位の均一化をはかれる。5)海洋飛沫帯あるいは海上大気中のコンクリート構造物に電気防食は十分に適用可能である。 |
PDFファイル名 | 010-01-1090.pdf |