種別 論文
主題 エポキシ樹脂塗装鉄筋の塗膜傷部に発生するさびに関する研究
副題
筆頭著者 三浦 尚(東北大学)
連名者1 板橋 洋房(東北大学)
連名者2 新井 哲三(住友金属工業)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 523
末尾ページ 528
年度 1988
要旨 まえがき
近年、我が国の鉄筋コンクリート構造物においても、海岸部付近では、海水中の塩化物が、また、積雪の多い地方では、冬期の凍結防止剤に含まれる塩化物がコンクリート中に浸透して構造物中の鉄筋が腐食する被害が発生している。そして、現在のところこのような被害を防ぐための最も有効的な防食方法の一つは、普通の鉄筋の代わりにエポキシ樹脂塗装鉄筋を使用することと考えられている。ところで、このエポキシ樹脂塗装鉄筋は、製造時の樹脂塗装工程や運搬、曲げ加工、組み立て等の鉄筋取り扱い中において、樹脂塗装に損傷が発生することがある。樹脂塗膜に損傷がなければ、鉄筋に腐食が発生しないということはこれまで行なわれてきた実験・研究等でわかっているが、樹脂塗膜に損傷がある場合、それらの損傷がコンクリート中でどの程度有害となるかということが未だ明らかにされていないのが現状であり、早急に調査しなければならない課題である。本研究では、エポキシ樹脂塗装鉄筋の曲げ加工部の引張側に発生するような塗膜の引張ひび割れを人工的に作り、これをコンクリート中に埋め込み、空気中乾燥-海水中浸漬の繰り返しを与える実験室内腐食促進試験を行なって損傷部に発生するさびを調査した。また、実際の鉄筋取り扱いおよび施工時に発生すると思われる大きさの塗膜損傷等を考慮し、大きさや個数等を変えて樹脂塗膜に剥離損傷を付与したエポキシ樹脂塗装鉄筋をコンクリート中に埋め込んだ供試体で同様な試験を行った。さらに、実験室における腐食促進試験と実際の環境とを対応させる目的で実験室と現場とに同一の鉄板を設置し、その重量減少を比較することによって、実験環境の評価を行った。
まとめ
エポキシ樹脂塗膜に人工的に損傷を与えたエポキシ樹脂塗装鉄筋や比較する目的で無塗装鉄筋等を用いて作製した鉄筋コンクリート供試体に対して、かなり厳しい条件のもとでの実験室内腐食促進試験を行なった結果、次のようなことがわかった。(1)塗膜損傷の大きさが同じであっても腐食が発生したり、発生しなかったりとばらつきが見られた。そのばらつきは、試験期間が短いほど、また塗膜損傷個数が多いものほど顕著であった。なお、この傾向は、引張ひび割れ型損傷と剥離型損傷とでほぼ同じであることがわかった。(2)無塗装鉄筋および成分調整鉄筋を用いた供試体では、鉄筋軸に沿ってコンクリートに縦ひび割れが発生した。腐食深さは、かぶり2cmと4cmにおいて最大で1.5mm程度であったが、成分調整鉄筋の方が幾分腐食深さが浅くなるようである。これらの鉄筋に比べてエポキシ樹脂塗装鉄筋の場合は、損傷面積が大きくても、いずれのかぶりにおいても縦ひび割れの発生はなく腐食に伴う鉄筋の断面減少は無視できるほど小さかった。(3)基礎的研究によって、塗膜損傷部分がある程度小さくなると腐食が進行しなくなるという結果が得られているが、今回の実験においては、いずれの損傷においてもばらつきはあるものの腐食は発生し、試験期間が長くなるにつれて、僅かずつではあるが樹脂塗膜と鉄筋との付着性を低下させながら腐食が進行していた。また、塗膜損傷面積が大きくなるにしたがって腐食も増加する傾向が見られた。(4)今回の実験では、いずれの場合にも塗膜損傷部に腐食が発生した。しかし、今回行なった実験は、腐食性の環境で20年から30年に相当するものである。そして、そのような場合においてかぶりが小さく、さらにエポキシ樹脂塗装鉄筋の塗膜に大きな損傷がある場合においてさえも、コンクリートに縦ひび割れも発生せず、錆の深さはごく浅いものであった。このことから一般の腐食性環境下のコンクリート構造物にエポキシ樹脂塗装鉄筋を用いた場合、塗膜にかなり大きな損傷があっても数十年のオーダーでかなり長期間安全に使用できるものと思われる。なお、より長期に腐食を防ぐことを目的に、腐食の発生を一切認めないような構造物を造る場合には、損傷面積を更に小さくした実験によって、腐食の発生しない許容損傷量を求める必要があると思われる。
PDFファイル名 010-01-1092.pdf


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