種別 論文
主題 コンクリート中の鉄筋発錆に対する塗布型腐食抑制剤の効果
副題
筆頭著者 小林 明夫 (鉄道総合技術研究所)
連名者1 牛島 栄(鉄道総合技術研究所)
連名者2 阿南 晃時(小野田セメント)
連名者3 越川 松宏(小野田セメント)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 529
末尾ページ 534
年度 1988
要旨 はじめに
除塩不足の海砂の使用および塩化カルシウム系混和剤の大量使用等による内的塩害や、飛来塩分による外的塩害等によって、コンクリート中に既に塩分が鉄筋腐食の限界量以上に含まれている場合には、コンクリート中の鉄筋が腐食し、鉄筋断面積の減少や付着力の低下によって早期にコンクリート構造物の耐力が低下する問題が生じる。これらの補修方法として、現状においてはコンクリート中の鉄筋の腐食因子を外部から遮断することを目的とした、表面処理工法が一般的に行われている。しかし、この方法では前述のような既にコンクリートの内部に取り残されている塩分による鉄筋の腐食を抑制することができない。そこで、筆者らは塩分による鉄筋の腐食を抑制する方法として、コンクリート表面に塗布型浸透抑制剤(亜硝酸塩)を塗布することによって、コンクリート内部の鉄筋周辺に浸透させ鉄筋の腐食を抑制する方法の実用化を試み、室内試験および現場施工試験を行った。既に、無錆鉄筋に対する腐食抑制剤の効果および抑制に必要な抑制剤量(NO2-/Cl-モル比)ついては知見を得ている。本報告は、これらの室内試験を更に進め、既に部分腐食を生じている鉄筋(有錆鉄筋)に対する抑制剤の効果、および腐食抑制剤量(NO2-/Cl-モル比)について検討したものである。
まとめ
腐食抑制剤の室内試験および現場施工試験の1年経過の結果から以下のことがわかった。(1)1.5年経過した水溶液中における腐食抑制剤の効果確認試験から、長期的な抑制効果を得るためには、NO2-イオンの濃度を大きくする必要がある。(2)有錆鉄筋に対しては、鉄筋の腐食評価が不十分ではあったが、腐食抑制効果は認められた。また、有錆鉄筋の腐食部の拡がりも抑制していた。しかし、腐食抑制剤の塗布量の相違による有錆部の腐食抑制効果の差は明確に得られず、NO2-/Cl-モル比も推測できなかった。(3)無錆鉄筋に対しては、本試験方法によれば腐食要因としてはCl-イオンだけでありNO2-/Cl-モル比によって腐食抑制剤量を決定できるが、有錆鉄筋に対しては腐食要因がCl-イオンだけでなく電気化学的な腐食も考慮の必要があるため、鉄筋の腐食状態を考慮して腐食抑制剤の使用量をNO2-/Cl-モル比以上に加算する等の考慮が必要であると考えられる。(4)腐食抑制剤を塗布した実構造物のNO2-イオンの濃度分布を測定して浸透状態を把握した結果、1年経過した場合においてもNO2-イオン濃度分布は、塗布直後と比較して安定しておりNO2-イオンの抜け出しなどは認められなかった。以上より、腐食抑制剤の塗布により鉄筋の腐食を抑制する場合は、塗布量を実験結果から求められた腐食抑制限界量以上に塗布すれば、腐食状態にある実構造物の鉄筋に対しても十分に腐食を抑制する可能性があることが明らかとなった。今後は、データの集積を行ってNO2-/Cl-モル比と腐食抑制効果について更に検討を加える必要があると同時に現場施工試験箇所の追跡調査を行う予定である。
PDFファイル名 010-01-1093.pdf


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