種別 | 論文 |
主題 | 断面修復を施した塗装RC梁の塩水噴霧試験による防食効果に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 牛島 栄(鉄道総合技術研究所) |
連名者1 | 鳥取 誠一(鉄道総合技術研究所) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 535 |
末尾ページ | 540 |
年度 | 1988 |
要旨 | はじめに 近年、海洋環境に位置するコンクリート構造物において、コンクリート中へ飛来塩分が浸透しコンクリート中の鉄筋腐食が発生する塩害等の早期耐久性の低下が問題となっている。一般に、これらの構造物の補修方法としてコンクリート表層塗装による補修〔1〕が行われている。これら塗装材料の塗膜自体の遮塩性効果等については把握されており、種々の市販の材料がある。しかし、実際の構造物の補修においては断面修復を伴って実施される場合が一般に多く、補修後に断面修復部分の鉄筋が腐食するケースがあり、再補修を余儀なくされている場合も見受けられている。これらの原因の一つとして、断面修復部分において電気的にマクロセル腐食が形成され鉄筋が腐食する〔2〕のではないかと考えられる。筆者らはそこで、断面修復を施した補修RC梁を大型塩水噴霧試験を用いて塩水噴霧による促進劣化試験を実施し、断面修復後部分の鉄筋腐食に対する防食効果および腐食原因の確認を行った。また、併せてコンクリート中の鉄筋の腐食状態を把握するため、自然電極電位法により腐食状況のモニタリングを行ったので報告する。 まとめ 断面修復部に着目した塩水噴霧試験と自然電極電位による測定結果から、以下の点が明らかとなった。(1)コンクリート中の塩分量を測定した結果、塗装することにより遮塩効果があることがわかった。また、同時に鉄筋の腐食状況を調査した結果、補修方法により防食効果に差があることがわかった。(2)ライニング工法に用いる補修材の性能が十分でない場合、断面修復箇所を中心としてマクロセル腐食によると考えられる孔食を伴った鉄筋腐食が認められた。また、コンクリート中には初期塩分がある場合には、無い場合に比べて腐食の程度が著しかった。(3)鉄筋の腐食生成物を分析した結果、大気腐食鉄さびの主成分であるFe2O3(マグネタイト)、α-FeeOOH(ゲータイト)およびClイオンの存在下で生成されるβ-FeeOOH(アカガナイト)が捕捉された。(4)断面修復材の接着強度が塩水噴霧試験前後で大きく低下するような場合は、鉄筋の腐食も著しくなり長期にわたる接着強度の確保は防食上重要な要件である。(5)非破壊試験の一種である自然電極電位法を用いて、電位の経時変化を測定して部材中の鉄筋の最高、最低および平均電位を総合的に評価することにより、補修材の防食効果の定性的な把握が可能であることが明らかとなった。以上から、海洋環境下に位置するコンクリート構造物の補修の有効性については、単に材料の性能評価だけではなく電気化学的な見地から総合的に検討を加えていく必要があると考えられる。 |
PDFファイル名 | 010-01-1094.pdf |