種別 | 論文 |
主題 | しらすを細骨材として用いたコンクリートの実用性に関する検討 |
副題 | |
筆頭著者 | 川俣孝治(住友セメント) |
連名者1 | 武若耕司(鹿児島大学) |
連名者2 | 松本 進(鹿児島大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 577 |
末尾ページ | 582 |
年度 | 1988 |
要旨 | まえがき 著者らはこれまでに、南九州に大量に存在するしらすをコンクリート用細骨材として有効に利用するため、これを用いたコンクリート(以下、しらすコンクリートと称する)の性質に関する基礎的な検討を行ってきた。その結果、地山から採取したしらすをほぼそのままの状態で用いた場合でも、配合条件を工夫することによって十分な作業性を有するコンクリートが作製できることを明らかにし、また、このための配合設計資料を得ることができた。さらに、この配合設計資料に基づき打設したしらすコンクリートの圧縮、引張あるいは曲げ強度特性について検討した結果、材令3ヶ月までの範囲においては、水セメント比を5〜10%小さくしてやることによって、通常のコンクリートとほぼ同程度の強度特性が得られることが確認された。本研究では、前報に引き続き材令一年までのしらすコンクリートの諸強度特性について検討を行うとともに、乾燥収縮あるいはクリープ特性といったコンクリートの変形性状ならびに種々の環境下における耐久性等について若干の検討を行った。また、しらすコンクリートのRC部材への適用可能性について検討を行うためにRC矩形梁の静的載荷試験を実施したが、その結果についてもあわせて報告する。 結論 南九州に広範囲に分布し、未だ十分な活用に至っていないしらすをコンクリート用材料、特に細骨材として有効に利用するため、これを用いたコンクリートの諸特性について検討を行った。その結果、次のような結論を得た。1)材令に伴うしらすコンクリートの強度増加の傾向は、通常のコンクリートと大差がない。また、しらすを細骨材として使用しても、圧縮強度600kgf/cm2程度のコンクリートは十分に作製可能である。2)圧縮強度が同一であっても弾性係数はしらす使用によりいくぶん低下するが、クリープ変形量はかえって小さくなる。また、しらすコンクリートの乾燥収縮率は通常のものより大きいが、これは減水剤などの使用による単位水量の低減によって十分に抑制可能である。3)しらすコンクリートの耐硫酸塩性は、通常のコンクリートに比べて格段に優れている。4)しらすコンクリートを用いたRC梁の曲げ性状は、川砂を使用した場合とほとんど差がなく、またせん断耐力は、川砂使用の場合に比べかえって増加する傾向も認められた。以上の結果から、しらすはコンクリート用細骨材として十分利用可能であることが明らかとなり、このしらすコンクリートが海洋環境あるいは地中の構造物に使用された場合には、通常のコンクリートよりも耐久性に優れたコンクリートとなる可能性が高いものと予想された。 |
PDFファイル名 | 010-01-1102.pdf |