種別 論文
主題 3次元織物補強コンクリート部材の力学的特性
副題
筆頭著者 秋浜 繁幸 (鹿島建設)
連名者1 末永 龍夫(鹿島建設)
連名者2 中川 裕章(鹿島建設)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
10
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先頭ページ 677
末尾ページ 682
年度 1988
要旨 はじめに
近年、骨材の品質の悪化などから鉄筋コンクリート構造物の早期劣化が問題となり、特に臨海地方では、海塩粒子による塩化物により鉄筋の腐食が激しく、早急な対応が必要となっている。また、RC構造物の施工合理化に伴い、部材の大型化及びプレファブ化が進み、より軽量でかつ高強度な部材への需要が高まってきている。このような背景から、耐久性に優れた軽量・高強度材料である繊維補強コンクリート(FRC)の適用化研究が盛んに行われるようになり、現在では、種々の繊維あるいは繊維複合形態によるFRCが開発されている。3次元織物補強コンクリート(Three-Dimensional Fabric Reinforced Concrete;3D-FRC)は、コンクリートの補強材に従来の鉄筋に代わり3次元織物を用いた新しい複合材料であり、FRCの中でも最も理想的な繊維複合形態を有している。3D-FRCに使用する3次元織物は、各種繊維(PAN系炭素繊維、アラミド繊維、etc.)のロービングを3軸方向に織り上げた立体状の繊維である。3次元織物の概念図を図-1に、各種断面の3次元織物を写真-1に示す。3D-FRCは、この3次元織物のロービングに樹脂を含浸させて形状保持性をもたせた多孔複合構造体を作り、内部にセメント系マトリックスを充填したものであり、ロービングの繊維種類、フイラメント数及びピッチを変えることによって、部材の応力状態に適した繊維補強が可能である。また、繊維が格子状に組織されているため、マトリックスとの機械的な付着力も大きいと考えられ、さらに、3次元織物はロービングの樹脂含浸まで工場で機械生産されるため、生産性にも優れている。本研究は、3D-FRCを実際の建設物に適用していくために、各種の材料特性を把握することを目的に、マトリックス種類及び繊維種類、繊維量などを変化させた3D−FRC部材について各種強度試験を行なったものである。
まとめ
今回の3D-FRC部材の力学的特性に関する実験の結果より、以下に示す知見が得られた。 a.3D-FRC梁の3等分点載荷曲げ試験の結果、初期ひび割れまでの曲げ性状は主にマトリックスの性質に支配され、初期ひびわれ以後は繊維の性質により支配される。 b.今回の実験では、3D-FRC梁の曲げ破壊性状は繊維種類により異り、PAN系炭素繊維を使用した3D-FRC梁は引張側繊維の破断により、アラミド繊維を使用した3D-FRC梁はマトリックスの圧壊により最大耐力に至る場合が多かった。また、Ptに比較してPwが小さい3D-FRC梁は、斜張力破壊により急激な耐力の低下を生ずる場合がある。c.PAN系炭素繊維及びアラミド繊維を使用した3D-FRCの圧縮耐力は、Pcが比較的大きい(Pc=1.0%程度)場合は、Pcの増大により向上する。また、PAN系炭素繊維はマトリックスの圧縮耐力の向上に有効である。 d.PAN系炭素繊維及びアラミド繊維を使用した3D-FRCのせん断耐力は、Ptが比較的大きい(Pt=0.5%程度)場合は、Ptの増大により向上する。また、両繊維ともPwの増大によりせん断耐力は向上する。
PDFファイル名 010-01-1120.pdf


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