種別 論文
主題 アルカリシリカ反応によるモルタル膨張に及ぼす細孔溶液中のアルカリ量の影響
副題
筆頭著者 二村 誠二(大阪工業大学)
連名者1 福島 正人(大阪工業大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
10
2
先頭ページ 727
末尾ページ 732
年度 1988
要旨 まえがき
アルカリシリカ反応は、コンクリート細孔溶液中の水酸化アルカリと骨材中の反応性シリカ鉱物との化学反応に起因することから、コンクリート細孔溶液中の化学組成を知ることは、極めて重要な項目であり、抽出した細孔溶液の化学分析による研究成果も報告されている。本研究は、主として阪神地区で大きな被害の原因となった輝石安山岩砕石を用い、NaOHを添加してアルカリ濃度を変化させたモルタルバーの細孔溶液を抽出し、各種イオン濃度の経時変化と膨張量との関係から、アルカリシリカ反応による膨張過程について検討したものである。
むすび
阪神地区で大きな被害の原因となった輝石安山岩砕石と非反応性の流紋岩砕石を用い、NaOHを添加して、アルカリ量を変化させたモルタルバーの細孔溶液を抽出し、各種イオン濃度の経時変化と膨張量との関係から、反応および膨張の過程を検討した結果は以下の通りである。(1).細孔溶液中のアルカリ量が多い程、材令初期における膨張速度および膨張量は大きくなる傾向を示すが、反応性シリカ成分の種類によって、膨張の形態に大きな差異が見られる。(2).膨張に伴う圧縮強度の低下はあまり見られない。しかし、動弾性係数は顕著な低下が認められるので、アルカリシリカ反応による劣化度の指標として利用できる。(3).反応性の高いシリカ成分が存在すると、細孔溶液中のアルカリは、接触と同時に急激に消費されるが、その後も、アルカリ濃度は漸減する。反応性の低いシリカでも、細孔溶液中のアルカリ濃度は漸減し、材令1年でも低減する傾向を示す。細孔溶液中にアルカリと反応性シリカが存在すれば、アルカリ濃度が低くても、アルカリシリカ反応は常に進行すると言える。(4).アルカリシリカ反応がある程度進むと、細孔溶液中のSiイオン濃度が高くなることから、高アルカリの珪酸塩が細孔溶液中に溶出してきたものと思われる。細孔溶液中のアルカリ濃度が低減してくると、Ca濃度が高くなり、高カルシウムの珪酸塩を生成するが、これはモルタルバーの膨張にはほとんど関係しないようである。以上より、アルカリシリカ反応によるモルタルバーの膨張は、Diamondらの提示した1)アルカリシリカ反応によるゲルの生成が充分に進行した後、2)このゲルの吸水により、モルタルバーが膨張するという過程を、さらに明確に説明できたものと思われる。今後は、アルカリシリカ反応によるモルタルやコンクリートの膨張に及ぼす他の影響要因についても、細孔溶液の化学組成を分析することにより、さらに、詳細な検討を加える必要がある。
PDFファイル名 010-01-1130.pdf


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