種別 | 論文 |
主題 | アルカリ骨材反応に及ぼす鉄筋拘束の影響に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 西林新蔵(鳥取大学) |
連名者1 | 矢村 潔(鳥取大学) |
連名者2 | 定清 毅(機動建設) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 795 |
末尾ページ | 800 |
年度 | 1988 |
要旨 | はじめに 鉄筋コンクリート構造物にアルカリ骨材反応が起こった場合、コンクリートの膨張は鉄筋による拘束の影響を受け、劣化の進行過程は相当複雑なものになることが考えられる。現在までの研究を通じて、いわゆる促進膨張させた鉄筋コンクリート部材の静的耐力に関してはそれほど問題がないことが明らかになってきた。しかし、付着特性を含めて、コンクリートの強度発現と反応による膨張に起因する劣化の進行の時間的相関関係、コンクリートのクリープさらには反応生成物の乾燥、脱水に伴う鉄筋に囲まれた内部のコンクリートの応力緩和さらにはゆるみ等の影響に関しては、従来からの促進劣化させた供試体による強度試験、あるいは、実構造物の被害調査からは、かならずしも適切なデータが得られないことが推測され、この分野での資料の蓄積はきわめて不十分である。このような観点から、本研究は反応性骨材を用いた鉄筋コンクリート部材の小型モデルについて、拘束鉄筋量、かぶり厚等がコンクリートあるいは部材としての劣化の進行に及ぼす影響について主として実験的に明らかにし、今後、しばらくは発生が続くと予想される鉄筋コンクリート部材のアルカリ骨材反応による損傷に対処していくための基礎資料を得ることを目的とする。 まとめ 本研究は、アルカリ骨材反応による鉄筋コンクリート構造物の劣化機構を明らかにしていくために、小型モデル供試体による実験を行い、その結果について検討を加えたものである。本実験では対象とした要因も限られており、また、供試体数も少なく、供試体の保存期間が短いために、一般的な断定は困難であるが、本実験の範囲内で現在までに明らかになったことを以下に列挙し、本研究の結論とする。(1)供試体内部におけるアルカリ骨材反応による膨張ひずみの分布は、面内拘束を受けている場合には基本的には中心付近が最小となり、表面に近いほど大きくなる。(2)アルカリ骨材反応によるコンクリートの表面膨張ひずみは、かぶり厚が大きくなるほど大きくなる。しかし、この値は表面ひびわれに大きく影響され、鉄筋で囲まれた内部コンクリートの状況を必ずしも表しているものではない。(3)屋外暴露実験のようなゆるやかな実験では、鉄筋コンクリート供試体内の膨張ひずみの分布は比較的均一となる。(4)鉄筋で囲まれた内部コンクリートの膨張ひずみは、鉄筋量が多くなるほど小さくなる。しかし、供試体表面のひずみは、鉄筋の量にはそれほど影響されない。(5)鉄筋コンクリート供試体のひびわれは打設面で最も多い。また、ひびわれ本数はかぶり厚が大きいほど多く、鉄筋量にはあまり関係しない。屋外暴露供試体についても材令6ヶ月程度で40℃、R.H.95%以上の供試体とほぼ同様のひびわれ模様を形成する。(6)超音波伝播速度と膨張ひずみの間には総体的には相関があるが、細かい部分に関しては明確でない。本研究を通して、鉄筋コンクリート構造にアルカリ骨材反応が発生した場合、表面部の挙動はかぶり部のコンクリートに支配され、内部の状態を反映しない可能性があることが明らかとなった。今後長期の測定を継続し、より直線的に内部の挙動を把握していくことが重要である。 |
PDFファイル名 | 010-01-1142.pdf |