種別 | 論文 |
主題 | アウトケーブルを用いたPRCばりの挙動に及ぼすスパンの影響 |
副題 | |
筆頭著者 | 柳沼 善明(日本大学) |
連名者1 | 北田 勇輔(日本大学) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 3 |
先頭ページ | 23 |
末尾ページ | 28 |
年度 | 1988 |
要旨 | まえがき 近年、アウトケーブルを用いた構造物(部材断面の外部にPC鋼材を配置した構造)の設計施工が注目されている。一方、コンクリート構造物の劣化が大きな社会問題として取り上げられ、コンクリート構造物の補修や補強が必要になってきている。補修や補強の一つの方法として、アウトケーブルの採用は有効な方法と考えられる。アウトケーブルの使用は多くの利点が考えられるため、今後我国においてもその使用が増加するものと予想される。しかしながら、我国におけるアウトケーブルに関する研究は数少ないため、本研究はアウトケーブルを使用するにあたっての基礎資料を得ようとするものである。著者らは、主鉄筋量を三種類に変化させたアウトケーブルを用いたPRCばりの静的曲げ破壊実験を行い、アウトケーブルの中間支持のないPRCばりの最大曲げモーメントMmaxは従来工法の約4%の減少であったと報告した。この報告で用いた供試体はスパンと有効高さとの比(l/d)が11程度のPRCばりであった。ところで、付着のないPCばりのMmax算定において、CP110や竹本によるPC鋼材応力はl/dpを考慮して算出される。ここに、dpは圧縮縁からPC鋼材までの距離である。また、l/dが大きくなるとPRCばりのたわみが増大するため、アウトケーブルの支持の有無はPC鋼材の応力ならびにはりの変形性状などに影響を与えることが予想される。そこで、本研究はl/dとアウトケーブルの支持の有無に着目したMmax、PC鋼材の応力、変形性状について調べることを主な目的とした。実験は、アウトケーブルを用いたPRCばりと従来工法によるPRCばりの静的曲げ破壊実験である。 まとめ l/dの異なるアウトケーブルを用いたPRCばりと従来工法のPRCばりとの静的曲げ載荷実験を行い、本実験の範囲内で得られた結果をまとめると次の通りである。(1)アウトケーブルの中間支持のないPRCばりは、従来工法と比較してl/dが大きくなると最大曲げモーメントMmaxならびにMmaxまでのエネルギーU maxがともに著しく減少する傾向を示した。しかし、中間支持したPRCばりはl/dにかかわらずMmax、U maxがともに従来工法よりも増加する傾向を示した。(2)PC鋼材の応力増分dσpは、従来工法ならびに支持の有無にかかわらずl/dが増加すれば減少する傾向を示した。このdσpの減少は、中間支持のあるPRCばりでは従来工法とほぼ同じ値を示し、中間支持のないPRCばりではl/dが大きい場合従来工法よりも著しく減少する傾向を示した。(3) Mmaxまでの変形曲線は、l/dが小さい場合アウトケーブルの支持の有無にかかわらず従来工法と同様な変形曲線となった。しかし、 l/dが大きい場合中間支持のないPRCばりの変形曲線は従来工法ならびに中間支持のあるPRCばりと比較して、ひびわれ発生以降の領域で曲げモーメントが著しく低下する傾向を示した。以上により、アウトケーブルの中間支持のないPRCばりはl/dが大きくなると耐力などが従来工法と比較し著しく減少する傾向にあった。しかし、中間支持のあるPRCばりはl/dにかかわらず中間支持の効果により従来工法のPRCばりの挙動に類似する傾向を示した。アウトケーブルを用いたPRCばりの挙動に及ぼすこの中間支持の効果は支持部の位置ならびに数により異なるため、これらの点についてはさらに検討する必要がある。 |
PDFファイル名 | 010-01-2005.pdf |