種別 論文
主題 高強度繊維を用いた鉄筋の接合方法について
副題
筆頭著者 辻  正哲(東京理科大学)
連名者1 辻  克己(東京理科大学)
連名者2 平田 隆祥(東京理科大学)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
10
3
先頭ページ 215
末尾ページ 220
年度 1988
要旨 はじめに
コンクリート構造物のプレキャスト化を進めるに当たり、プレキャスト部材の接合部における信頼性を高める事は重要である。プレキャスト部材間の主鉄筋の接合では、重ね継手、溶接継手等が従来より用いられているが、接合部が一箇所に集中する事からコンクリートが行き渡りにくくなることや、ひび割れが接合面に集中しやすくなること等の問題点が指摘されている。一方、柔軟でかつ高強度である高分子繊維が近年開発され実用化に至っている。もし、こうした繊維を用いて主鉄筋を結び付けること(網結)ができれば、継手部の信頼性を高めることができる可能性がある。また、プレキャスト部材より網結のために出しておく主鉄筋の折り返し部分の長さを変化させる事により、接合部内に発生するひびわれを分散できる可能性があり、さらに網結作業は繰り返し行なえるため、プレキャスト部材の再利用が可能となると考えられる。本研究は、プレキャスト部材よりあらかじめ出しておいた主鉄筋の折り返し部を、高強度繊維の中でも特に柔軟であるアラミド繊維を編み上げて作製した網を用いて、結び付ける事により、主鉄筋をつなぎ合わせる方法について、モデル供試体の曲げ、斜め引張および純せん断に関する静的載荷試験を行ない、検討した結果を報告するものである。
結論
高強度繊維の網を用いて主鉄筋を結び付けるという、今回考案したプレキャスト部材の接合方法について、静的載荷試験によるモデル実験を行った結果、以下のことが推定された。1.網結した部分の強度は、網結される鉄筋の強度よりも大きく、曲げモーメント、斜め引張せん断および純せん断に対する耐荷力は、一体打ちの場合よりもかなり大きく、フック定着部の鉄筋も引張側主鉄筋として作用すると考えた場合の耐荷力に近い。また、接合部の破壊性状は、ダクタイルである。2.接合面にひび割れが発生する荷重は、一体打ちに比べて低下するが、接合面における鉄筋の量が2倍となる為、荷重が大きくなってもひび割れ幅はさほど大きくならない。3.プレキャスト部材よりあらかじめ出しておく主鉄筋の長さを、6¢程度と長くすると、破壊時のひび割れパターンは、一体打ちの場合と同様となる。4.プレキャスト部材よりあらかじめ出しておく鉄筋に防錆用のエポキシ樹脂を塗布しておいても、接合部の性状は、あまり変化しない。5.主鉄筋を物理的に結び付けるという方法であり、場所打ちコンクリートの行き渡りにあまり影響されないと考えられる。
PDFファイル名 010-01-2040.pdf


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