種別 論文
主題 被覆角形鋼管でコンクリートを拘束したX形配筋の合成柱の耐力と靱性
副題
筆頭著者 南  宏一(大阪工業大学)
連名者1 佐々木良一(摂南大学)
連名者2 若林  実(日本建築総合試験所)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
10
3
先頭ページ 245
末尾ページ 250
年度 1988
要旨 はじめに
鉄筋コンクリート短柱のぜい性的な破壊を防止するために高密配筋の帯筋のかわりに、角形あるいは、円形の鋼菅を外側に被覆する方法が、富井、崎野らによって提案され、そのような構造の柱は、高せん断力に対して優れた性能を持つことを指摘している。この構法の特色は、被覆鋼管は柱体のみに設け、柱端からの圧縮・曲げ・せん断が直接的に鋼菅に伝達されないように、鋼管部分を絶縁しているところにある。しかしながらこの方法は、森下らの実験で見られるように、鋼管で拘束されたコンクリートに配筋された主筋はすべりを生じ、そのために柱材としては、くり返しによる耐力の劣下は小さくても、その履歴曲線を安定した紡錘形に改善することは困難であることを示している。一方、高圧縮カを受けるコンクリート部材の性能を改善するために、円形鋼管を用いてコンクリートを拘束する試みは、佐藤らによってなされている。この構法の特色は、 被覆鋼管に材軸方向の応力が生じて、鋼管の局部座屈が発生しないように、鋼菅コンクリートの界面に0.2mm厚の分離材を介在させて、アンボント状態にしていることである。一方、このような試みに対して、通常の鉄筋コンクリート短柱のせん断破壊を防止する極めて有効な方法として、主筋の配筋をX形配筋とすることが筆者らによって提案され、最近では、実用的な構法として普及する状況にある。この高せん断力に対して高性能をもつX形配筋柱を、高圧縮力を受ける部材に適用して、必要な性能が得られるかどうかを実験的に検討したが、高圧縮力を受ける場合には、平行配筋の鉄筋コンクリート部分を帯筋によって拘束し、圧縮力に対するじん性を高めることによって高せん断に抵抗するX形配筋の特色が生かされることが明かにされた。そこで、筆者は、高圧縮カに対してコンクリートを被覆角形鋼管で拘束する効果と、高せん断カに対して、せん断補強筋を必要としないX形配筋のもつ効果を組み合わせて、高圧縮カと高せん断カに対して超高性能をもつ構法として、本論文で提案する「被覆角形鋼管でコンクリートを拘束したX形配筋の合成柱」を考案した。この合成柱が予想する高性能が得られるかどうか、9体の試験体を用いて実験的な検討を行ったが、本論文は、その内容を報告するものである。
むすび
高圧縮カと高せん断力を受ける鉄筋コンクリート柱に超高性能をあたえる構法として、角形被覆鋼管とX形配筋を組み合わせることを考案したが、このような構造をもつ柱では、作用軸カ比がn=0.6という高軸カに対して、柱部材角がR=5%rad.の大変形振幅においても、極めて、安定した紡錘形の履歴曲線を得ることが可能である。また、角形鋼管で被覆された曲げ・せん断を受ける平行配筋あるいはX形配筋柱の終局耐力は、アーチ機構を形成するコンクリートの局部支圧効果による耐力増加を考察することにおいてほぼ評価できることが示された。
PDFファイル名 010-01-2045.pdf


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