種別 | 論文 |
主題 | 鉄筋コンクリート短柱の靱性向上に関する薄肉中空管の抱束効果について |
副題 | |
筆頭著者 | 佐藤 立美(広島工大) |
連名者1 | 井伏 克則(宇都宮大学) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 3 |
先頭ページ | 257 |
末尾ページ | 260 |
年度 | 1988 |
要旨 | はじめに コンクリートの横方向変形を拘束すると軸方向耐カは上昇し変形性能も向上する。本論では、コンクリートの横方向変形を拘束する方法として薄肉鋼板の中空管を使用した場合について、最初に圧縮試験によりその拘束効果を実験的に検証した。次いで、その結果を利用して、一般に脆性的破壊となりやすい鉄筋コンクリート短柱の脆性破壊防止と変形性能向上を目的として、鉄筋コンクリート短柱の主筋内部のコンクリートの横方向変形を薄肉中空管で拘束する工法を提案すると共に、薄肉中空管埋設柱の変形性能に関する実験結果を以下に示した。本論は、中低層の鉄筋コンクリート造の建物における短柱の変形性能に着目したものであり、比較的低軸力下での変形性能向上の可能性を論じたものである。 まとめ 以上、2種類の実験結果より薄肉中空管の拘束効果及びRC短柱の靱性向上に対する薄肉中空管の効果として以下のような結論を得た。1)本実験で使用した形状の薄肉中空管による拘束方法であれば、鋼板は主としてH00P TENSION効果のみであり、軸カの負担率はきわめて小さい。2) 薄肉中空管の拘束係数kは、板厚比の小さいものは大きく、板厚比が大きくなると減少する傾向もある。但し、板厚比の大きいものほど圧縮時の靱性が大きくなり、靱性向上のためには、拘束係数kは小さくても板厚比t/Dの大きいものを使用するのが良い。3) 薄肉中空管を埋設したRC短柱の場合、R≦1/200迄の挙動は従来工法の短柱と大差なく、また最大耐力もH00P量で決定するため耐力の向上は望めない。しかし、変形性能の改良は著しく、剪断破壊する柱でもR=1/50迄は設計耐力を安全に保持する事が可能である。また、大変形時にカバーコンクリート部が剥落し、断面積の減少があるにもかかわらず、終局状態まで安全に軸カを保持できるため十分な変形性能を有する短柱の設計が可能である。4)適切な薄肉中空管の埋設で、靱性率・エネルギー吸収量共に、従来工法の短柱の3倍以上とする事が可能である。本実験結果からは、埋設する薄肉中空管は可能な限り拘束断面積比が大きくかつt/D≧4×10-3が望ましいと言える。5)t/D=8×10-3の薄肉中空管を使用し、かつ内部に補強主筋を配置した場合、R=1/25迄の変形性能が確保された。これは、本論で提案した薄肉中空管埋設工法がRC短柱の靱性向上に対し有効である事を示唆していると考えている。 |
PDFファイル名 | 010-01-2047.pdf |