種別 論文
主題 連層鉄筋コンクリート耐震壁のせん断強度に及ぼす中間はりの効果に関する実験的研究
副題
筆頭著者 高木 仁之(明治大学)
連名者1 光井 滋也(明治大学)
連名者2 狩野 芳一(明治大学)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
10
3
先頭ページ 397
末尾ページ 402
年度 1988
要旨 はじめに
連層RC耐震壁の中間はりがせん断耐力に及ぼす効果は、付帯フレームが壁板の斜めひびわれ発生後の拘束要素としていかなる効果を有するかという点にある。ここで、連層RC耐震壁のはりの効果としては、次の3つが考えられる。1)壁板に生じる圧力場をはり主筋が水平方向に拘束してせん断耐力を高める(はり、柱等におけるせん断補強筋の働き)。2)耐震壁の主として上下端において、壁板に生じる圧力場を鉛直方向に拘束してせん断力を高める。3)純ラーメン構造のように水平力に対し柱の曲げ変形を拘束し、フレームの壁板圧力場に対する拘束効果を高める。しかし耐震壁の既往のせん断耐力式は、はりを持つものに対してはりを無視した状態で導いているため、はりの効果を評価するためには十分ではない。また中間はりの設計を可能にしたものに富井、江崎の研究がある。これは、最大せん断耐力時における中間はり軸方向カを計算し、必要な中間はり軸方向筋を算定したもので、破壊を各層にとどめるという立場に立脚した考えに基づき提案した式で、耐震壁のせん断耐力は各層ごとに評価される。中間はり軸方向引張力算定式(文献1) NbD=?ηΣ1/2th(Qf/tl?Pwft) (1) Qf=1.25(2.9√Fc+3400?Pw)tlPw ft=30kg/cm2をこえるときは、 Pw・ft=0.4 Pw・ft+18とする。富井、江崎スリップ破壊耐力式   QA=(2.4√Fc+3400Pw)tl (2)修正荒川式   Qu=(0.0679Pt0.23( Fc+180)/√M/QD+0.12+2.7√ Pw・σwu+0.1σo)be・j (3)この提案式から言えることは、必要中間はり軸方向筋を確保すれば、せん断耐力は各層のスリップ破壊耐力(2)式により決定され、補強筋による耐力上昇は壁筋比のみの効果として表現される。しかしながら筆者らの研究によれば、はり主筋を壁横筋と同様のせん断補強筋として考慮した有効横筋比という概念に基づき、修正荒川式(3)式に適用した結果非常によく耐力の傾向をとらえたという結果がある。しかしこれは(1)式を満たしていない場合であり、はりが十分剛でスリップ破壊を起こす場合には、その効果は明らかなものとはなっていない。また、せん断補強筋による耐力上昇は、(2)式では全補強耐力と考えられるが、(3)式では平方根耐力で両者いずれの考え方をとるべきかについて確かめられていない。本論は、はり筋が耐震壁の破壊機構に及ぼす挙動をとらえ、既往のせん断耐力式を使用する場合のはり筋の効果を実験的に明らかにしようとしたものである。
まとめ
本実験での破壊性状及びせん断耐力に関する結論を下記に示す。(1)破壊性状について: 中間はり筋の効果は、ラーメン材的挙動も示しているものの引張材としての働きが強い。また引張側柱軸方向歪分布より、壁筋及びはり筋が多くなると、壁は全体としてはり機構としての挙動に近くなり、少ない場合は対角線にブレースを有する、ブレース構造としての挙動に近づき、はり筋が壁筋同様のせん断補強効果として表われている。 (2)せん断耐力について: 連層耐震壁において富井、江崎によるスリップ耐力計算式は、せん断補強筋による効果を適切に評価していない。修正荒川式(原式)による計算値は、実験値に対し低く評価するが、有効横筋比を用いて拡張して適用すると原式より実耐力に近づき適合性が認められた。
PDFファイル名 010-01-2072.pdf


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