種別 論文
主題 軽量コンクリートを用いた連層耐震壁の力学性状に関する実験的研究
副題
筆頭著者 寺岡  勝(フジタ工業技術研究所)
連名者1 狩野 芳一(明治大学)
連名者2 内田 和弘(フジタ工業技術研究所)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
10
3
先頭ページ 421
末尾ページ 426
年度 1988
要旨 はじめに
15階建て程度の高層共同住宅の構造は、桁行方向を純ラーメンで、又、はり間方向を独立連層耐震壁で構成される場合が多い。このような建物に軽量コンクリートを適用することにより、とりわけはり間方向の独立耐震壁の転倒モーメントの低減が計られ、より高層化が可能になると考えられる。軽量コンクリートを用いた耐震壁の加力実験は少なく[1]〜[5]、普通コンクリートを用いた場合に比べ、1)強度が若干低いとするもの[1]、[2]、2)強度、変形の力学性能に特に差が見られないとするもの[4]、があるなど評価に差がみられ、力学性能については不明な点が多いと考えられる。本研究は、上記のことを踏まえ、軽量コンクリートを用いた独立連層耐震壁の力学性状を明らかにすることを目的とし、断面形状、補強筋量などを実験因子とした4体の独立連層耐震壁試験体について加力実験を行い、それらの因子が破壊性状及び耐力の負担性状に及ぼす影響を検討すると共に、既往のデータを含め強度や変形の力学性能の評価を行なった結果を示すものである。
結論
軽量コンクリートを用いた独立連層耐震壁の加力実験を行い、破壊及び耐力の負担性状について検討すると共に、既往のデータを含め強度及び変形性能の評価を行い、以下のことが知れた。(1)曲げ降伏後の繰り返し加力でせん断圧縮破壊する試験体では、最大荷重時のせん断力は、主としてアーチ作用及び圧縮柱脚部の曲げ抵抗により負担し、引張柱及び壁板脚部の負担は小さい。最大荷重以降、壁板圧縮隅角部のせん断圧縮破壊の進展により、アーチ作用の負担せん断力は圧縮柱に流れ、圧縮柱脚部にせん断圧縮破壊をもたらし、強度低下を生じる。(2)せん断圧縮破壊する試験体では、最大荷重時のせん断力は、トラス作用、アーチ作用、及び圧縮柱脚部の曲げ抵抗により負担している。それらの負担割合及び最終的な破壊状態は、柱寸法/壁厚、壁厚/壁の全長(D)、及び柱寸法/壁の全長(D)等により異なる。それらの因子を大きくすれば、最終的な破壊は壁板のせん断圧縮破壊となり軸力を安定して保持する。逆に小さくすれば、圧縮柱及び壁板のせん断圧縮破壊をもたらし軸力の保持が不能となる場合がある。(3)曲げ及びせん断ひびわれ、曲げ降伏、最大の諸強度、及び初期剛性は、既往の算定式を用いて評価できる。本実験で得られた軽量コンクリートを用いた耐震壁の強度は、普通コンクリートを用いた耐震璧のそれに比べ、特に差が見られなかった。以上は、少数の実験結果を基に得られた結果である。今後、更に実験資料を蓄積し、検討を行う必要がある。
PDFファイル名 010-01-2076.pdf


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