種別 論文
主題 RCDコンクリートのせん断強度に関する実験的考察
副題
筆頭著者 瀬古 育二(水資源開発公団試験所)
連名者1 山口 温朗(水資源開発公団試験所)
連名者2 自閑 茂治(水資源開発公団試験所)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 559
末尾ページ 564
年度 1988
要旨 はじめに
ダムコンクリートのせん断強度、特に水平打継目のせん断強度の把握は、コンクリートダムの滑動に対する構造的安定性を評価する上で非常に重要である。また、最近新施工法として注目されているRCD(Roller Compacted Dam)工法においては、貧配合でゼロスランプの超硬練りRCDコンクリートを振動ローラを用いて締固めることから、打継目におけるブリージングやレイタンスが少なく、その打継目処理方法の合理化が強く求められており、この点からもその打継目のせん断強度の把握は最優先課題の一つとなっている。一方、コンクリートのせん断強度試験法については、従来より多くの研究者が様々な試験法を提案しているが、それらの多くは供試体の作成方法が複雑であったり、特別な試験装置を必要とするなど、上述のような硬練りのダムコンクリートを対象とした試験には必ずしも合致しないと考えられた。そこでここでは、ダムコンクリートのせん断強度を容易に求めることができる簡易一面せん断試験機を新たに開発し、これを用いてRCDコンクリートを対象に室内試験により以下の実験的検討を行った。(1)RCDコンクリートの均一部および打継目のせん断強度の把握(2)打継目処理方法(グリーンカット、打設面清掃、敷モルタル)のせん断強度に与える影響の検討ここでは、以上の実験結果について述べるとともに、有限要素法による上記試験の応力解析を行い、試験の妥当性についても検討を加えた。
結論
本研究は、ダムコンクリートのせん断強度の把握を目的として、簡易一面せん断試験機を新たに開発し、これを用いたRCDコンクリートのせん断強度試験結果および同試験の妥当性の検証を目的とした応力解析結果の両者について考察を加えたものである。まず、前者のせん断強度試験結果について、結論をまとめると以下の通りとなる。(1)本せん断試験で得られたせん断破壊基準点(σ、τ)は、ばらつきも小さくほぼMohr-Coulombのせん断破壊基準線上にある。したがって、本試験方法がほぼ妥当であることが考えられる。(2)均一部におけるせん断破壊基準線は、一軸圧縮強度σc、および引張強度σtの両者のMohr円を若干下回るもののほぼ包絡する。(3)RCDコンクリートの打継目におけるせん断強度特性のうち、純せん断強度τoについては、敷モルタルの寄与が大きい。また摩擦係数fについては、グリーンカットの有無が影響を与えている。これは、グリーンカットによる弱層の除去および粗面の形成等の効果であると考えることができる。一方、打設面清掃の有無については顕著な差異は認められなかった。次に、応力解析結果についてまとめると以下の通りとなる。(1)解析によれば、せん断面上での応力分布は均一とはならない。特に、想定せん断破壊面の両端部では圧縮主応力の集中が生じるが、中央部ではほぼ均等な応力分布となる。(2)せん断面上の応力状態を、せん断に対する局所安全率で評価すると、いずれの傾斜角の場合も破壊限界の1.0を下回る。したがって、試験値は真のせん断強度よりも若干低目の値を示すものと考えられる。(3)せん断面の傾斜角α=20°の場合、引張破壊が、一方α=40°の場合、異なった方向でのせん断破壊が発生する可能性がある。したがって、せん断試験上適切な傾斜角の範囲は、α=30°付近である。(4)以上で示した均一部供試体の応力的な傾向は、打継目供試体の場合においてもほぼ変わることはない。以上、簡易一面せん断試験の実用性およびRCDコンクリートの均一部、打継目のせん断強度特性が明らかにされた。今後とも、現場コア供試体での検証も含めRCDコンクリートにおける打継目処理の合理化の可能性について検討する予定である。
PDFファイル名 010-01-2100.pdf


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