種別 論文
主題 ポリマー含浸鉄筋コンクリート部材の曲げ性状
副題
筆頭著者 来海 豊(秩父セメント)
連名者1 鈴木 脩(秩父セメント)
連名者2 奥山康夫(秩父セメント)
連名者3 村上和幸(秩父セメント)
連名者4  
連名者5  
キーワード
10
3
先頭ページ 697
末尾ページ 702
年度 1988
要旨 まえがき
放射性廃棄物処分用容器を設計する際、最終耐力よりも鉄筋が降伏するまでの性状が問題となる。そこで、容器の開発に当り、大きな伸び能力とテンションスティフニング効果が期待できる鋼繊維補強ポリマ一合浸コンクリートの適用を試みた。しかし、この種の材料に対しては、設計方法が確立されていないだけでなく、参考となる解析結果も見当らない。一方、ポリマー含浸コンクリートは、一般に、養生後、乾燥→脱気→合浸→重合という工程で製造される。この製造過程において、乾燥収縮が生じることは当然であるが、含浸モノマーが重合する際にも収縮変形が起こる。したがって、ポリマー含浸鉄筋コンクリート部材を設計する場合、内部応力が無視できないため、製造時の長さ変化量を推定することも重要となる。本研究は、鉄筋降伏までの性状を精度よく把握できる解析方法確立のための基礎資料を得ることを目的 として行ったものである。そこで、まず膨張材と鋼繊維を混入したポリマー含浸鉄筋コンクリート製のビーム供試体とスラブ供試体を作成し、長さ変化量を測定した。次に、仕事量の概念を適用して各工程での長さ変化量を推定し、その推定方法の妥当性を検討した。さらに、上記の内部応力と鋼繊維補強ポリマー含浸コンクリートのひびわれ後の優れた性状を考慮できる有限要素法による非線形三次元解析を行うとともに、曲げ載荷試験を実施し、ポリマー含浸鉄筋コンクリート部材の解析に用いる引張応力‐ひずみ関係の表示方法について検討した。
まとめ
1)本研究のように特定の製造条件では、長さ変化量は仕事量の概念によりほぼ推定可能と考えられる。この長さ変化量に対応する初期引張応力は、本研究の場合6〜17kgf/cm2程度の値となった。2)本研究の方法でポリマー含浸鉄筋コンクリート部材の曲げ性状を解析した結果、テンションスティフニング効果は非常に大きいことが明らかとなった。これには、ひびわれ後も優れた耐荷能力を有する鋼繊維補強ポリマー含浸コンクリートの材料特性が反映したものと考えられる。3)ビームの曲げ性状にほぼ適合する引張応力-ひずみ関係を類似した高さのスラブの曲げ解析に適用する際、鋼繊維補強ポリマー含浸コンクリートのひびわれ発生条件を修正した方が、変形性状をより近似することができた。しかし、鉄筋を等価な直交異方性板に置き換え、ひびわれを分散ひびわれモデルとして取扱うという本解析方法では、スラブ1供試体で認められたような鉄筋に沿った大きなひびわれ等が表現しがたい。したがって、ひびわれ発生条件の修正という便宜的な処置方法を今回と異なる対象条件に適用する場合には、分散ひびわれモデルや三次元構成則について、さらに検討する必要があるものと思われる。
PDFファイル名 010-01-2124.pdf


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