種別 | 報告 |
主題 | 低温下における動的引張載荷された鉄筋の破断挙動に 関する実験的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 初崎俊夫(大成建設 ) |
連名者1 | 川崎宏二(大成建設 ) |
連名者2 | 三浦 尚(東北大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 305 |
末尾ページ | 308 |
年度 | 1988 |
要旨 | はじめに プレストレストコンクリート(以下PCと言う)製二重殻低温液貯槽は、防液提機能を有するPC外槽、常時低温液を貯めているPC内槽及び、内外槽間の保冷材から成っており、この内内槽は槽全体が低温液温度まで冷えることになる。したがって、液化天然ガス(LNG)用の貯槽の場合には、コンクリート中の鉄筋も-162℃まで冷却される。鉄筋がこのような低温に冷却された場合、その力学的性質は常温と大きく異なってくるので、この種の構造物を作るためには、低温下における鉄筋の力学的性質を十分に知る必要がある。特に耐震構造を考える場合、動的荷重に対する鉄筋の挙動をも知る必要がある。本報告は以上のことから、-162℃での、鉄筋の力学的挙動を明らかにするため、普通鉄筋ならびに低温用に作られた低温鉄筋について、常温からLNG温度までの間で、静的及び動的な引張試験を行い、その結果について述べるものである。 まとめ 本実験で得られた結論を要約すると以下のようになる。1)鉄筋の種類、載荷方法の如何を問わず、鉄筋の降伏点及び引張強さは低温になるにつれて増大する。2)静的及び動的引張の差異は、応力ひずみ曲線にあらわれる。静的引張の全て及び、普通鉄筋で温度が-70℃以上の動的引張に関しては、降伏点に達した後、より大きな引張強さを示して破断する。しかし、それ以外の動的引張り場合は、降伏点に達した後、ひずみの増大とともに、その応力度は降伏点以下を示したまま破断する。3)静的引張の場合、普通鉄筋の破断伸びは常温から-162℃までで約10%低下するが、低温鉄筋についてはほとんど低下しない。4)破断絞りは温度の低下とともに減少する傾向があるが、静的及び動的引張とも-162℃において、普通鉄筋で幅40%以上、低温鉄筋でほぼ60%以上を示した。しかし、冷間加工した普通鉄筋の動的引張において、-162℃で他と比べて特別小さな値を示すものが見られた。5)垂直破断面の割合は温度低下につれて増加する傾向にあり、特にこの傾向は普通鉄筋の静的引張において顕著である。なお、冷間加工したものについては、-162℃においてほぼ脆性破断したものと思われるものがあった。以上の結果から、今回用いた普通鉄筋においては本試験で実施した程度のひずみ速度では、低温下における鉄筋の挙動は特に動的という条件で付加される危険性は小さい。ただし、冷間加工を行った試験体の中に-162℃で脆性破断したものが見られ、曲げ加工に対する危険性が皆無でないことが示唆される。低温鉄筋については、このような問題は無いことがわかった。なお、本実験においては、試験機の関係で、ひずみ速度を十分大きくすることはできなかった。したがって、より大きなひずみ速度に対する鉄筋の挙動については、今後の問題であると思われる。 |
PDFファイル名 | 010-02-1054.pdf |