種別 | 報告 |
主題 | 練り混ぜ水として海水を使用したアルカリ骨材反応試験について |
副題 | |
筆頭著者 | 斎藤 武(東北電力) |
連名者1 | 氏家久芳(東北電力) |
連名者2 | 古屋隆弘(日本原燃産業株式会社) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 709 |
末尾ページ | 712 |
年度 | 1988 |
要旨 | まえがき コンクリート構造物の早期劣化原因の1つとしてアルカリ骨材反応(以下AARと略記する)が問題視されており、被害の実態調査や室内試験などが広く行われている。このAARに関する各種試験法の1つにモルタルバー法がある。同法の場合、水酸化ナトリウムなどの添加剤を用いて使用セメントのアルカリ含有量(R2O)を調整するケースが多いため、試験時には事前にベースとなるセメントのR2Oを把握する必要がある。また、同法は判定までに比較的長時間を要するという短所があることも指摘されている。そこで、このモルタルバー法の本質を失うことなく、簡便でかつ早期判定が可能な方法を見い出すべく種々の検討を行っているが、このうち練り混ぜ水として海水を用いたところ良好な試験結果が得られたので、その概要について報告する。 まとめ 本試験により得られた結果を、以下に要約する。(1)反応性を有する骨材の場合、海水で練り混ぜることにより、調整R2O =1.2%のケースよりも、早期に限界値に達するかあるいは判定材令である6ヶ月において大きい値を示している。また、両試験法とも判定上同一の結果が得られる。(2)非反応性骨材の場合、海水練りによる伸び率と、調整にR2O=1.2%における伸び率とは、ほぼ同じ値を示すことから、(1)と同様、判定上同一の結果が得られる。(3)海水練りの場合、R2Oの調整が不要となるので、使用セメントのR2Oを事前に把握する必要がないことから、試験準備作業などが簡便化できる。以上のことから海水練りによる測定法は、調整R2O=1.2%のケースと比較して、簡便であり、さらに測定期間の短縮化が期待できる。また、海水練りによる測定法によって、モルタルバー法の本質を失うことなく、骨材の反応性の有無を判定できる。なお、海水で練り混ぜたベースセメントのR2Oの変化を表-4に示す。本試験にて用いたAとBのようにR2Oが0.5%前後のセメントの場合、約1.2%となるが、Na2Oの増加が大きく、K2Oはほとんど変化していない。このことはNa2Oのみ増加するNaOH添加による調整と、 R2Oのみならずその成分比までほぼ同-であることがわかる。しかし、反応性骨材であるA3とH1における両試験法での伸び率の相違は、海水中のNaとK以外の成分の影響と考えられるが、本試験のみでは明らかにできなかった。一方、本試験に用いた海水は天然海水であるので、採取条件が異なればその成分も多少異なると考えられるため、成分が明確でかつ同一成分量の人工海水などを用いた試験を検討する必要があると考えている。また、本試験の海水練りによる結果のみでは、データ不足の点からベースとなるセメントのR2Oと伸び率との関係、および他の骨材における本試験法の適用の妥当性などを今後の研究課題としたい。 |
PDFファイル名 | 010-02-1126.pdf |