種別 報告
主題 鉄筋コンクリート柱の降伏ヒンジ位置設定方法に関する研究
副題
筆頭著者 大久保全陸(九州芸術工科大学)
連名者1 原田知明 (九州芸術工科大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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3
先頭ページ 613
末尾ページ 616
年度 1988
要旨 はじめに
現在、日本建築学会で開発中の鉄筋コンクリートラーメン構造に対する終局強度型耐震設計法では、曲げ降伏ヒンジ位置を予め設定し、そこに必要な強度と靱性を確保させることが基本方針の一つとして取り上げられている。設定される降伏ヒンジの位置は、一般には柱と梁の接合部分の梁端であるが、1階では柱脚とすることが推奨されている。柱に降伏ヒンジを設定する時、耐震要素として扱われない腰壁が骨組み中に存在する場合には、腰壁と柱との接合部には構造目地を設けて腰壁の不明瞭な影響を回避し、設定する位置に降伏ヒンジが確実に形成されるようにする必要があり、このためのディテール設計法に関しては、諸氏の研究がある。(文献1) しかし、腰壁をウォールガーダー形式として耐震要素扱いする場合、あるいは腰壁に構造目地を設けないで設計する場合等において柱に降伏ヒンジを形成させる場合には、通常の配筋のままでは、次のような不都合が生じることが予想される。即ち、腰壁に平行なラーメン応力に対して想定される柱の降伏ヒンジ位置は、腰壁上端近傍であるのに対して、それと直交方向のラーメン応力に対して想定される柱の降伏ヒンジ位置は、柱脚のスラブ上端近傍となり、地震時の2方向曲げの状況を想定すると、降伏ヒンジ位置が不明となることである。柱の耐震設計は、本来、2方向曲げに対して設計されるのが基本であり、その場合に設定される降伏ヒンジ位置は任意方向の曲げに対して常に同じ位置であるべきであると考えられる。筆者らは、この研究において、柱主筋量を調整することによって、ウォールガーダーまたは腰壁上端位置に柱の降伏ヒンジを形成させることを目的として予備実験を行い、1)設定した位置に曲げ降伏ヒンジを形成させることの可能性、2)その場合の復元力特性の安定性、の2点に重点をおいて結果の検討は現在行っている。本報告では、先ず実験結果と1)の曲げ降伏ヒンジを形成させることの可能性についての検討結果を報告する。
結論
柱にウォールガーダーあるいは腰壁が接合され、柱の曲げ降伏断面位置がラーメンの2主軸方向に関して異なることが予想される場合に、柱の主筋量を調整することによって、各主軸方向の降伏断面位置を一致させることができることを確認できた。2主軸方向に対して降伏断面位置を揃えることができると、柱の2方向曲げに対する終局強度設計の道が開ける。なお、本実験ではNo.2及びNo.4の場合、2δy以後の繰り返し加力において柱のせん断破壊が起こり、荷重低下が生じた。復元力の安定性に関しては、軸カの影響も考慮し、さらに実験を行って検討する予定である。
PDFファイル名 010-02-2109.pdf


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