種別 報告
主題 せん断補強筋へのPS導入効果について
副題
筆頭著者 大井孝和(愛知工業大学)
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キーワード
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先頭ページ 617
末尾ページ 622
年度 1988
要旨
近年、非常に高強度なコンクリートと鉄筋を組合せた高強度鉄筋コンクリート構造の設計施工技術に関心が集っている。このような鉄筋コンクリート構造の耐力性能を更に高めようとすれば、破壊時の部材に十分な靱性を付与する設計方法とともに、柱梁などに用いて強力で効率の高いせん断補強の方法が重要な課題となるであろう。あばら筋、帯筋によるせん断補強の有効範囲(日本建築学会・RC計算基準式では、Pw≦1.2%)を越えるせん断補強をおこなうことのできるひとつの方法として、あばら筋、帯筋に高強度鉄筋を用い、それらにプレストレス(以下PSと略記する)を導入することが考えられる。本報告では、まず、基本的なRC梁試験体の曲げせん断を行ない、あばら筋にPSを導入するのと同等な効果を持つ外部拘束を試験体に与えて、曲げせん断荷重を受けた試験体の変形を詳しく調べることにより、この方法によるせん断補強の特徴とせん断抵抗のメカニズムを少しでも明らかにしようとした。本実験においては、外部拘束により、材軸に直角方向のプレストレスを試験体に対してできるだけ単純な状態で与えることに留意している。PS導入方式のせん断補強の具体的方法については、将来、この単純な応力状態と比較しつつ、それぞれの特性を調べて行く予定である。
結び
あばら筋のようなせん断補強筋によるせん断補強の有効性を高めるひとつの方法として、PS導入を考え、それと同等な効果を持つ外部拘束を付加した梁の曲げせん断実験を行ない、材軸に直角方向のPS導入の影響について調べようとした。得られた実験結果を分析して、本実験の範囲内では、材軸に直角方向のPS導入があばら筋比を増大したのとほぼ同様の効果をもたらし、異形鉄筋のDPS試験体については、梁の破壊および変形の挙動に関して、予想された通りの優れた結果が得られたことがわかった。今後はプレストレスの導入応力をさらに高めた実験を行い、PS導入方式のせん断補強方法の可能性を追求すると共に、実際的な施工法についても研究を進めていきたいと考えている。この方法は、どちらかといえば大きな軸力が作用する鉄筋コンクリート柱のせん断補強に適していると思われ、また、プレストレスト・コンクリート構造の設計手法と組合せて、建築構造に適用すれば、より大きな利点を見出すことができるものと考えている。また、この方法に対するせん断抵抗機構解明の試みはまだ始めたばかりであるが、このテーマに新しい視野が与えられるよう期待している。
PDFファイル名 010-02-2110.pdf


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