種別 | 論文 |
主題 | PC斜張橋の最近の進歩 |
副題 | |
筆頭著者 | 藤井 学(京都大学) |
連名者1 | |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 1 |
先頭ページ | 87 |
末尾ページ | 94 |
年度 | 1988 |
要旨 | まえがき コンクリート橋の長大化を目指す新しい形式として、近年最も注目を集めているものにPC斜張橋がある。PC斜張橋は力学的にも極めて合理的で、経済性や美観の面からも優れている。PC斜張橋で最大のスパンのものは、道路橋では1983年完成のスペインのBarrios de Luna橋(中央スパン440m)、道路・鉄道併用橋としては西ドイツのMain2橋(148.2m)が1972年に完成している。アメリカ、さらに中国などの諸外国におけるPC斜張橋は、その大半がここ十数年間に建設されており、近年その採用が急増している。一方、我が国では、PC桁橋についてはスパンからみてもすでに世界的な水準にあるが、PC斜張橋については道路橋として1988年に竣工した新丹波大橋(スパン110m)、鉄道橋では小本川橋(1979年、85m)が最大であって、諸外国に比べて本格的な発展が非常に遅れている。この主な理由として次の諸点が指摘されている。1) PC斜張橋の設計は、設計パラメーターが多く設計・施工が複雑で、初心者には理解が得にくい。2) PC斜張橋に関する示方書が十分整備されていない。3) 経済性に対する評価が十分定まっていない。1)については、PC斜張橋の設計は、構造形式が多様であるから複雑である。しかし、それは設計者の創意・工夫を反映させうる利点でもある。2)、3)については、設計・施工上の技術的問題の整理、他形式との経済比較等を行っていく中で逐次解決されていくであろう。ここでは、PC斜張橋の設計・施工上の基本事項を概説し、最近の技術動向について述べる。 あとがき PC斜張橋は力学的にきわめて合理的構造であり経済性にも優れていることから、諸外国においては鋼斜張橋の技術成果を吸収・消化しながら独自の発展過程をたどり、鋼斜張橋と競合する段階に達している。一方我が国においては、1963年PC斜張橋の第1号(島田橋、l=39.7m)が誕生したものの、その後現在に至るまで、スパンが100m前後である。しかし、近時ようやくPC斜張橋に関する研究も進み、有利性の認識が急速に高まりスパン200mを越えるPC斜張橋建設が実施に移されて、本格的な発展期を迎えようとしている。PC斜張橋の適用範囲をさらに拡大するのに検討が必要な項目を思いつくままに列挙してあとがきとしたい。・限界状態設計法の適用上の問題点の摘出と合理的設計法の開発。・自重の軽量化(軽量骨材コンクリート、高強度コンクリート、鋼との合成構造など)。・施工管理の合理化(桁の上げ越し-温度補正、コンクリートの弾性係数の正確な推定、橋体応力度、斜張ケーブルの張力-測定法、調整法。・維持・管理を考慮した細部構造(耐久性設計の適用;点検・補修、ケーブルの取替えが容易な構造など)。 |
PDFファイル名 | 010-04-0007.pdf |