| 種別 | 論文 |
| 主題 | 塩化物のアルカリ・シリカ膨張におよぼす影響 |
| 副題 | |
| 筆頭著者 | 川村満紀 （金沢大学） |
| 連名者1 | 市瀬誠（北陸電力） |
| 連名者2 | 竹本邦夫 （石川工業高等専門学校） |
| 連名者3 | |
| 連名者4 | |
| 連名者5 | |
| キーワード | |
| 巻 | 11 |
| 号 | 1 |
| 先頭ページ | 65 |
| 末尾ページ | 70 |
| 年度 | 1989 |
| 要旨 | まえがき 塩化カルシウムの添加によって、アルカリ・シリカ反応によるコンクリートの膨張が助長されることが指摘されてきた。例えば、Shidelerは、高アルカリセメントと3種類の反応性骨材との組合せにおいて作製されたモルタルの材令1年における膨張量は、CaCl2の添加によって約30%増大したと報告している。しかし、CaCl2の添加によってモルタル中の細孔溶液OH-イオン濃度は低下することが明らかになっている。したがって、 Shidelerによって得られた実験結果は、アルカリ・シリカ反応はコンクリ−トの細孔溶液中の高濃度の水酸化アルカリ溶液の存在下において生ずるという一般的な考え方と相容れないものである。 一方、我が国におけるアルカリ・シリカ反応によって劣化したコンクリートにおいて、比較的多量の塩素の存在が確認される場合も少なくないので、実際の構造物において発生しているアルカリ・シリカ反応における塩化物の役割を明らかにするという点からも塩化物のアルカリ・シリカ反応におよぼす影響の本質を把握することが重要と考えられる。本論文においては、 CaCl2およびNaClを添加したモルタルのアルカリ・シリカ反応による膨張挙動と細孔溶液の組成との関係より、アルカリ・シリカ反応におけるCl-イオンの役割について検討したものである。 結論 本研究により得られた主な結果は次のようである。 (1) CaCl2の添加によって反応性骨材含有モルタルの細孔溶液中のOH-イオン濃度は低下し、またアルカリ・シリカ反応によって消費されるOH-イオン量は、Cl-添加量の増加とともに低下するが、 CaCl2の存在によってアルカリ・シリカ反応は助長され、膨張量も増大する。 (2)NaCl添加モルタルにおいては、Cl-イオンの働きによって、12時間から24時間までの間に、急速にアルカリ・シリカ反応が進行し、1日以後においてアルカリ・シリカゲルの吸水による活発な膨張過程が進行する。Beltaneオパールを含有するモルタルに関する限り、NaClの添加によってアルカリ・シリカ膨張が助長されるのは、NaClの添加によって、１日以後のOH-イオン濃度が上昇するためではなく、Cl-イオンが1日までに生ずるアルカリ・シりカ反応を促進するためと考えられる。 (3) CaCl2およびNaCl添加モルタルにおいて、アルカリ・シリカゲル構造中のOH-イオンと細孔溶液中のCl-イオンの間に陰イオン交換が生じている可能性を示唆する結果が得られた。 |
| PDFファイル名 | 011-01-1008.pdf |