種別 論文
主題 反応性骨材混入率がモルタル細孔溶液中の化学組成に及ぼす影響
副題
筆頭著者 二村誠二(大阪工業大学)
連名者1 福島正人 (大阪工業大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
11
1
先頭ページ 99
末尾ページ 104
年度 1989
要旨 まえがき
アルカリシリカ反応には、細孔溶液中のアルカリ成分と骨材中の反応性シリカ成分との間における「反応」と、その反応によって生成されるアルカリシリカゲルの吸水による「膨張」という2つの過程が存在する。この2つの過程が複雑に影響しあうため、いくつかの「ペシマム値」が存在し、アルカリシリカ反応機構の解明を極めて困難なものにしている。 一般に、ペシマム値を与える要因としては(1)骨材の反応性、(2)反応性骨材混入率、(3)骨材粒度、(4)細孔溶液中のアルカリ量、(5)水セメント比、(6)環境温度、(7)環境湿度などが挙げられる。そして、これら要因相互の組合せによっても「ペシマム値」は大きく変化する。 本研究はアルカリシリカ反応機構を解明するための一手法として、ペシマム膨張量が極めて明確に認められる反応性骨材の混入率とモルタル細孔溶液中の化学組成との関係について検討し、そのメカニズムを明らかにしようとするものである。
むすび
反応性骨材混入率とモルタル細孔溶液中の化学組成との関係から、アルカリシリカ反応における「ペシマム混入率」のメカニズムについて検討した結果は以下の通りである。 (1)今回の実験の組合せでは、ペシマム混入率は40%の時であったが、混入率70%の位置にもピーク値が認められ、2つのペシマム値が存在するという極めて興味深い結果が得られた。 (2)反応性骨材混入率60%未満の範囲は、反応性シリカ量に対するアルカリ量が多い領域と考えられる。このため、反応性骨材混入率が増加するほどアルカリシリカゲルの生成量が増加し、モルタルバーの膨張量も大きくなる。しかし、混入率が増加すると反応性骨材の表面積が増加し、細孔溶液中のアルカリ濃度が低減してゲルの生成が活発でなくなり、膨張量も小さくなるためにペシマム混入率が存在すると考えられる。 (3)このようなペシマム混入率は、骨材の反応性が強いほど小さな値をとり、細孔溶液中のアルカリ濃度が高いほど大きな値をとると思われる。しかし、反応が激しすぎるときには生成されるゲルの粘性が低くなり、かえって膨張量が小さくなる場合もあるので、アルカリシリカゲルの質的要因と量的要因による影響を考慮する必要がある。 (4)反応性骨材混入率が60%以上の範囲は、反応性シリカ量に対するアルカリ量が充分ではない領域といえる。このため、ゲルの生成量が最大となるようなSiO2 /Na2Oモル比の成立する混入率が存在すると考えられる。しかし、骨材表面積に対するゲル生成量の割合が小さい場合には、必ずしもこの混入率がペシマム膨張量を示さないものと思われる。 (5)この2つのペシマム混入率の存在は、互いに矛盾するものではなく、どちらの要因が支配的に影響を及ぼすかによるといえる。このため、僅かなアルカリ量の違いや反応性骨材の種類の違いによってもペシマム混入率は大きく変化するものと思われる。  (6)アルカリシリカゲルはNa2O-SiO2ゲルおよびK2O-SiO2ゲルで構成されているといえる。そして、この一部はCaとイオン置換されるものと推論される。 (7)以上の結果は細孔溶液中のNa、K、OH、Siイオン濃度の変化と極めて良好な対応を示しており、各イオン濃度相互の関連性がアルカリシリカ反応機構を解明する上で重要な意味を持つものと考えられる。
PDFファイル名 011-01-1014.pdf


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