種別 論文
主題 鉄筋拘束がアルカリ骨材反応に及ぼす影響に関する研究
副題
筆頭著者 矢村潔(摂南大学)
連名者1 西林新蔵 (鳥取大学)
連名者2 田中修一 (三井建設)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 135
末尾ページ 140
年度 1989
要旨 はじめに
鉄筋コンクリート構造物にアルカリ骨材反応が生じた場合、鉄筋による拘束は、コンクリートの膨張を機械的に拘束するのみならず、反応過程そのもののメカニズムにも影響を与えるものと考えられる。したがって、劣化の進行過程も拘束のない無筋コンクリートとかなり異なることが予想される。このような観点から、本研究は反応性骨材を用いた鉄筋コンクリート部材を単純にモデル化した一軸鉄筋拘束供試体について、拘束鉄筋量、保存環境等を変化させて実験を行い、コンクリートあるいは部材としての劣化の進行に及ぼす影響を明らかにし、今後、しばらくは発生が続くと予想される鉄筋コンクリート部材のアルカリ骨材反応による損傷に対処していくための基礎資料を得ることを目的とする。
まとめ
本研究は、アルカリ骨材反応による鉄筋コンクリート構造物の膨張、劣化機構を明らかにしていくための基礎として、鉄筋によって一軸方向に拘束された小型供試体による実験を行い、その結果について検討を加えたものである。本実験では、対象とした要因も限られており、また、供試体の保存期間が短いために、一般的な断定は困難であるが、本実験の範囲内で現在までに明らかになったことを以下に列挙し、本研究の結論とする。 (1)拘束されたコンクリートのアルカリ骨材反応による膨張の開始時期は、無拘束の場合とほとんど差がないが、開始以後の膨張の進行程度は遅く、比較的早い時期に定常になる。この傾向はわずかの拘束で顕著に現われ、拘束鉄筋量による差は比較的少ない。 (2)アルカリ量による膨張発現の差異は、主として膨張開始時期の差に現れ、それ以降の膨張進行過程はほぼ同じである。また、供試体保存温度が低くなると、膨張発現の時期が遅くなり、それ以後の膨張進行速度もゆるやかになる。拘束による影響、基本的にはほぼ同じである。 (3)アルカリ骨反応によるコンクリートの静弾性係数の低下の程度は拘束が大きいほど小さい。しかし、この差は供試体の保存温度によって異なり、拘束鉄筋量が少ない領域では、保存温度40℃の供試体のコンクリートの方が弾性係数の低下が大きいが、拘束鉄筋が多くなると逆に、保存温度20℃の方が弾性係数の低下が大きくなる。 (4)拘束鉄筋比が大きくなるにしたがって、全般的な傾向として、ひびわれ本数が減少すると共に、拘束鉄筋軸に沿ったひびわれが卓越してくる。 (5)ひびわれ本数、平均ひびわれ幅は、材令初期では拘束の有無にかかわらず急速に増加するが、無拘束では増加が長期間持続するのに対し、拘束供試体では比較的短期間の内に一定値になる傾向がある。
PDFファイル名 011-01-1020.pdf


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