種別 | 論文 |
主題 | 高温下の熱拡散率測走法とその応用 |
副題 | |
筆頭著者 | 太田福男(大同工業大学) |
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キーワード | |
巻 | 11 |
号 | 1 |
先頭ページ | 187 |
末尾ページ | 192 |
年度 | 1989 |
要旨 | はじめに コンクリートが火災などの高温加熱を受けると、コンクリートの表面部分から内部に向けて熱伝達が進行するので、その劣化程度は表層部分が著しく、深部に行くにしたがって緩和される。このようなコンクリートの劣化状況を把握するためには、高温時のコンクリートの熱的性質を把掘しておく必要がある。なかでもコンクリート内部の温度変動速度を表す熱拡散率はきわめて重要である。コンクリートの熱拡散率の測定は、低温領域(100℃以下)では温湯につけて一様な温度とした円柱供試体を冷却して、供試体内部の温度変化を測定することにより求められる。水中で冷却する2次元の熱伝導方程式を用いたGloverの方法と軸方向に熱損失がないと仮定した1次元の熱伝導方程式を用いた空中で冷却するThomsonの方法とがある。火災相当温度の高温加熱を受けたコンクリートの熱拡散率の測定には、前述のGloverの方法は利用できないことは明白であるが、Thomsonの方法によって測定する場合は、軸方向の熱伝導を無視できるような、何らかの実験方法を講ずる必要がある。すなわち、円柱供試体の高さ(軸長)と直径の比が軸方向の熱伝導を無視できる程に十分大きいか、あるいは軸方向からの熱の流出入が全くない装置の中に供試体を置くか、いずれかの方法を採らなければならない。これらの測定方法は高温であればある程、実験装置が大型かするかもしくは測定精度の低下を招く。そこで、Gloverの方法による2次元の熱伝導方程式を用いてThomson の方法で熱拡散率を求めることが考えられるが、この方法は実際には、円柱供試体の中心軸上に温度測定センサーをいくつも正確に設定する必要があり実用的でない。このように高温加熱を受けるコンクリートの熱拡散率の判定は、熱伝導方程式の境界条件と同一の実験条件を設置することがきわめて難しく、確かな方法が確立していないのが現状である。このため、前述の測定上の難点をできる限り克服するために、本報では、先ず、立方形に近い角形供試体を一定雰囲気炉内で全面加熟し、P.J.Schneiderの2次元の非定常熱伝導方程式を3次元に拡張した方程式を用いて、方程式の境界条件を実験条件と同一にした解により、熱拡散率を求める方法を提案する。この方法の特徴は、温度センサーを供試体中心部に1個埋め込むだけでよく、供試体の加熱方法も簡単なところにある。次に、解析ならびに実験条件が同じでも、熱拡散率は、測定物質が加熱温度によって質的変化をしない場合では、加熱開始時から供試体内部温度が一定になるまで加熱した、温度上昇域で測定しても、一定温度に到達後初期温度まで冷却する、冷却域で測定しても、理論的には同じである。ところが、高温を受けるコンクリートでは、加熱段階で供試体内部温度に応じて自由水あるいは結合水が飛散するなど様々な質的変化をするため、温度上昇域で測定した熱拡散率と、冷却域で測定した熱拡散率の値は相違するものと思われるが、この点について今のところ十分明らかにされていない。このため、高温を受けるコンクリートの熱拡散率が温度上昇域の測定値と、冷却域で測定した値とどの程度相違するか調べる。最後に、本報による熱拡散率測定値と熱伝導方程式を用いて、供試体内部の温度を推定する。 まとめ (1)高温加熱を受けるコンクリートの熱拡散率は非定常三次元熱拡散率方程式を用いて求めることができる。(2)高温加熱を受けるコンクリートの内部温度分布は常温の熱拡散率が分かれば(8)式と回帰式(9)式を用いて推定できる。 |
PDFファイル名 | 011-01-1029.pdf |