種別 論文
主題 コンクリート中の水分移動に及ぼす環境条件および配合の影響
副題
筆頭著者 藤原忠司 (岩手大学)
連名者1 石田宏(岩手大学)
連名者2 佐藤嘉一郎(オリエンタルコンクリート)
連名者3 小西俊之 (岩手大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 223
末尾ページ 228
年度 1989
要旨 まえがき
多孔質であるコンクリートは、硬化時において内部に比較的多量の水分を保有しており、その水分は乾燥によって逸散する。また、乾燥したコンクリートは環境条件に応じて水分を獲得する。このように、コンクリート内部では常に水分の移動が生じている。 水分移動は、コンクリートの容積変化をもたらす。たとえば乾燥時の場合、容積変化によって収縮応力が発生し、収縮ひび割れを生じさせる恐れがある。また、吸水は貯水槽等の漏水の問題と関係する。さらに、水分移動は細孔中に含まれる物質の移動をもたらすから、塩害やアルカリ骨材反応による被害とも関連する可能性がある。したがって、コンクリート中での水分移動を的確に捉えておくことの意義は大きい。 この水分移動を定量的に明らかにしている例は、ほとんどない。それは、この現象の実験的把握が、きわめて難しいことを意味している。本研究では、水分移動をコンクリート内部での含水率分布の変化として捉え、この含水率分布を実測してみた。含水率分布は、雰囲気の乾・湿条件によって大きく影響を受け、またコンクリート自体の性質によっても差があると推察される。これらの要因による含水率分布の違いを明らかにするのが、本研究の目的である。
あとがき
本研究では、種々の環境条件下および配合条件下におけるコンクリート内部での水分移動を、含水率分布の変化として捉えることにより、実験的に明らかにした。得られた結論は次のように要約される。 (1)乾燥過程における含水率分布には、配合の影響が見受けられ、とくに単位水量の影響が大きい。単位水量の大きいほど、乾燥面近傍できつい含水率勾配を有し、これがひびわれ発生をもたらす収縮応力を大きくすると考えられるから、とくに単位水量の選定に注意を要する。 (2)環境条件としての温度は、乾燥過程における含水率の絶対値に関わり、温度が高いほど、乾燥が速い。湿度については、乾燥面近傍の含水率勾配に関連する傾向が認められ、湿度が低いほど、その勾配はきつい。 (3)吸水と吸湿とでは、水分の浸透速度に大きな差があり、液相での水分移動が主になると思われる吸水で、速やかに水分の浸透が行なわれる。これに外的条件としての圧力が加われば、その傾向が一層強まる。なお、吸湿・吸水さらには圧力下における吸水による水分移動を捉えたのは、本実験が初めての例であると思われる。 (4)水分移動を拡散現象として捉え、それを拡散方程式で表示するために必要な拡散係数を求める手法について検討したところ、乾燥過程に関しては、ボルツマン変換を利用する方法の有用性が認められた。吸湿・吸水過程については、検討の余地がある。
PDFファイル名 011-01-1036.pdf


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