種別 論文
主題 特殊水中コンクリートの凝結特性に及ぼす材料の影響に関する研究
副題
筆頭著者 大友健(大成建設)
連名者1 松岡康訓 (大成建設)
連名者2 中川良隆 (大成建設)
連名者3 中平淳(大成建設)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 385
末尾ページ 390
年度 1989
要旨 はじめに
特殊水中コンクリートは、水中での分離抵抗性が大きく、かつセルフレベリング性が高いという特性を有している。したがって、コンクリートポンプと打設管を使用して直接水中に打設しても分離が少なく水中で良質なコンクリートを得ることができるため、近年、大規模海洋構造物の施工に広く適用されてきている。 特殊水中コンクリートの有する分離抵抗性、セルフレベリング性は、特殊混和剤の添加によってコンクリートに付与される性質であるが、特殊混和剤として水溶性セルロースエーテル系のものを使用した場合には、コンクリートの凝結を遅延させる効果も合せ持つことが一般に知られている。特殊水中コンクリートの凝結時間は、型枠の設計、打設方法及び工程の管理に影響を及ぼすため、水中コンクリートで大規模構造物を構築する場合に考慮されるべき特性の一つである。 本研究は、水溶性セルロースエーテル系混和剤を使用した特殊水中コンクリートの凝結特性に関して、構成材料の影響を明らかにするとともに、構成材料に対する特殊混和剤の吸着現象について考察を加えたものである。
まとめ
高炉スラグ粉末、フライアッシュを多量に混入した特殊水中コンクリートを対象として、コンクリートを構成する材料が凝結特性に及ぼす影響について検討し、この原因について特殊混和剤の吸着現象の観点から考察した。これにより以下に示す結果が得られた。 1)混和材を多量に混入した特殊水中コンクリートの凝結速度は、一般の特殊水中コンクリートと比べて遅延するが、遅延の程度は使用する結合材および細骨材の種類により変化する。 2)特殊水中コンクリートの凝結遅延にはセメントに対する特殊混和剤の吸着現象が関与しており、混和材、細骨材に対する特殊混和剤の吸着特性の相違が、セメントに対する特殊混和剤の吸着量を変化させ、特殊水中コンクリートの凝結速度に影響を与えていることが推察される。 3)高炉スラグ粉末、フライアッシュの材料特性を検討したところ、特殊混和剤の吸着度の大きい材料は粒子の表面が不定形で、物理的吸着が大きいと考えられる性状を示していた。フライアッシュの場合には、燃焼度の低いものがこれに相当する。 4)細骨材においては、微粒分が凝結特性に影響を与えることが確認された。凝結特性は細骨材の有する微粒分量に影響されるが、微粒分の鉱物組成によっても変化することから、物理的吸着に加えて化学的な吸着も問題になるものと考えられる。 特殊混和剤は、一般のコンクリートに水中で分離しない性質を付与する希有な材料であり、ノンブリージングという特性も生かして種々のコンクリートに適用されてきている。しかし、コンクリート中における特殊混和剤自体の作用については、未だ明らかになっていない点が多い。 本論文では特殊混和剤の作用に対して、物理的吸着という観点からの検討を試みた。限定された条件での実験であり、また吸着現象には化学的な要因も影響を与えている可能性もあるため、特殊混和剤の吸着機構を全て明確にするまでには至らなかったが、さらにこのような研究を行なっていくことで、特殊混和剤の作用機構を明らかにすることが可能となるものと考えている。
PDFファイル名 011-01-1064.pdf


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