種別 論文
主題 コンクリートの含有塩分量測定値に及ぼす混和剤の影響
副題
筆頭著者 魚本健人 (東京大学)
連名者1 西村次男 (東京大学)
連名者2 米澤敏男 (竹中工務店)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 421
末尾ページ 426
年度 1989
要旨 はしがき
鉄筋コンクリート構造物にとって塩化物は鉄筋を腐食させる有害因子の1つである。示方書等で、打設するコンクリート中に含まれる塩化物イオン含有量は一定限度以下となるように制限されているが、最も望ましいのは打設直前にその含有量を測定することである。 現場においても簡便に塩化物イオン含有量を測定できる方法として種々の方法が提案されているが、中でもイオン電極法、電極電流法、電量滴定法などを用いた簡便な測定機器が開発され広く使用されている。また、測定機器に関しては(財)国土開発技術研究センターで技術評定がなされており、既に多くの測定機器が評定を受けている。しかし、これらの方法を使用して塩化物イオン含有量を測定する場合には、種々の注意すべき点がある。1つは測定方法やコンクリートの配合に起因する問題で、もう1つは妨害イオンの問題である。特に妨害イオンに関しては、測定者や測定機器の問題ではなく原理的な問題であるということができ、対処が難しい。 妨害イオンとして考えられるものには、海産骨材に含まれるBr-、高炉スラグや高炉セメントに含まれるS2-、やI-などがあるが、その他にも関西方面等でしばしば使用されている早強型(無塩化カルシウムタイプ)混和剤に添加されているロダンイオン(SCN- )がある。これはコンクリート中の塩化物イオンが制限されているため、塩化物以外の添加剤で早強効果を発揮させることを目的として用いられているものである。これらの妨害イオンは、わが国ではCI-に比べ鉄筋の腐食に対する悪影響は少ないと考えられているが、コンクリート中の塩化物イオンの測定値には大きな影響を及ぼすと言われている。しかし、これらの妨害イオンがどの程度測定値に影響を及ぼすかが公表されていないため、妨害イオンの含まれるコンクリートの測定を行った場合にどの様に考えればよいか判断しにくいのが現状である。 そこで本報告は、今日、比較的多く使用されている電極電流法、電量滴定法ならびにイオン電極法を原理とした測定方法を取り上げ、ロダンイオンが含まれている混和剤を使用したフレッシュコンクリート中の塩化物イオン含有量を測定した場合、測定値にどのような影響を及ぼすかを明らかにするとともに、どの程度これに対処できるかを検討したものである。
まとめ
本報告では、フレッシュコンクリート中の塩化物イオン濃度を測定する方法として既に広く用いられている簡易測定器(電量滴定法、電極電流法、およびイオン電極法)について、ロダンイオンを含む促進型AE減水剤を使用したモルタルの測定を実施し、次のような結果を得た。 1)本実験で取り上げた測定機器では、その測定値は妨害イオン(ロダンイオン)の影響を受け、 塩化物イオンの添加量の多少にかかわらず、真値の0.1%から1%大きい値を示すことがある。例えば、塩化物イオン無添加であっても最大で1%の塩化物イオン濃度を示す場合がある。 2)電量滴定法および電極電流法を原理とする測定機器では、妨害イオンが含まれるとその測定値は、ほぼ混和剤量に比例して大きくなる。しかし、イオン電極法を原理とする測定機器では、妨害イオンの影響が一様ではなく、条件等によって大きく変化する。 3)電量滴定法および電極電流法を原理とする測定機器では、コンクリート中に含まれる妨害イオン量が既知であれば、妨害イオンによる測定値を差し引くことで真値の7.5%以内の精度で塩化物イオン量を求めることができる。 4)イオン電極法の場合には、妨害イオンによる測定値の変化分を差し引くことで補正することは難しく、その他の方法を考えることが必要である。その場合、混和剤中に含まれる妨害イオンの種類と量が既知であれば対処しやすい。 なお、本研究では特に検討しなかったが、「ロダンイオン」を含めた妨害イオンが有害であるか否かについての確認をしておくことが必要であろう。
PDFファイル名 011-01-1070.pdf


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