種別 | 論文 |
主題 | 構造細目とワーカビリチーの異なる部材の耐久性能 |
副題 | |
筆頭著者 | 國島正彦 (東京大学) |
連名者1 | 小沢一雅 (東京大学) |
連名者2 | 山中克夫(三井物産) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 11 |
号 | 1 |
先頭ページ | 493 |
末尾ページ | 498 |
年度 | 1989 |
要旨 | はじめに 近年、コンクリート構造物の耐久性に対する疑問が呈されている。構造物の劣化は、塩分、酸素および水等の外的要因が部材表面から浸透して、内部の補強鋼材が腐食することが大きな原因として挙げられる。堅硬で空隙の少ない密実なコンクリートを、優れた材料を使用し、適切な設計および入念な施工を行うことによって実現すれば、構造物の耐久性は向上することに間違いはないといえる。しかし、要求される耐久性能のレベルが異なり、設計詳細や施工方法の制限を受ける場合もある多種多様なコンクリート構造物に対して、材料、設計および施工のレベルを、常に最善のものを一義的に要求することは非現実的であり、賢明な工学的判断とはいえないものと思われる。材料、設計および施工の各レベルが様々に組み合わされた場合の構造物の耐久性能を総合的に評価することが必要なのである。水セメント比を10%小さくして耐久性能を向上させることと、設計で鉄筋のあきを大きくする構造細目や入念に締め固める施工方法によって耐久性能を向上させることとの関係を定量的に明らかにすることが重要であり、それをうまく設定できるかどうかがコンクリート構造物の耐久性設計の鍵を握っているのである。 本研究は、フレッシュコンクリートの型枠内への充填性および締め固め作業の容易さに影響する鋼材のあきや段数か異なる部材に、スランプが異なるコンクリ−トを打設した場合の部材表面部付近の密実さを比較検討し、それを指標として構造細目とワーカビリチーの組み合わせが部材の耐久性能に及ぼす影響を明らかにすることを目的としたものである。 結論 本研究は、スランプ、鋼材のあきおよび締固めの程度等の要因を変化させ、供試体を真空乾燥した場合の蒸発水量から部材表面部付近の密実さを判定し、材料、設計詳細および施工方法が耐久性能に及ぼす影響の相互関係を定量的に明らかにしたものである。本実験の結果から以下のことがいえるものと思われる。 (1)密実なコンクリートを実現するために、最も適切なスランプの範囲がある。その範囲は、構造細目や施工方法によって異なると思われる。 (2)鋼材のあきと段数の構造細目が、フレッシュコンクリートの行き渡りや締固め作業が容易でないように設計された場合は、部材表面部付近のコンクリートの水セメント比が、10数%大きくなった場合と同様の密実さの低下に相当する影響があることが示唆された。 (3)締固めの程度の相違によって、部材表面部付近の密実さは、水セメント化が10数%から25%程度変化するのと同様の影響を受ける。 |
PDFファイル名 | 011-01-1082.pdf |