種別 | 論文 |
主題 | コンクリート構造物の経年変化推定のための劣化の確率密度関数化の検討 |
副題 | |
筆頭著者 | 桜井宏(北見工業大学) |
連名者1 | 鮎田耕一 (北見工業大学) |
連名者2 | 佐伯昇(北海道大学) |
連名者3 | 鈴木明人 (大成建設) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 11 |
号 | 1 |
先頭ページ | 499 |
末尾ページ | 504 |
年度 | 1989 |
要旨 | はじめに コンクリート構造物の経年変化の程度は、設計、施工及び材料等による内的要因と環境、気象及び荷重等による外的要因の多くの要因の組み合わせとそのばらつきによって変動する。そのため、構造物に発生する各種の劣化は、各々を劣化指標で表すとばらつきを持った変数となっていると考えられる。したがって、経年変化を推定するためには劣化を適切な劣化指標で表し、それを確率変数として把握するとともにその適切な確率密度関数を求める必要がある。 本研究は、劣化を確率密度関数化して把握することを検討するため、一例として寒冷地海洋環境下でコンクリートに発生する劣化現象の表面剥離を取り上げその劣化の発生と進行の程度を確率密度関数化することを試みる。寒冷地海洋環境下におかれたコンクリート構造物は凍結融解作用や海水によりコンクリート表面が洗われて摩耗するなど物理的作用や海水中のSO42-などの成分による化学的作用を受ける。したがって経年的にコンクリート表層部に表面剥離やポップアウト等の劣化を受ける。これらの劣化の発生の形態やその進行は寒冷地海洋環境下のコンクリート構造物の耐用年数を把握する上で重要である。ゆえに、寒冷地海洋環境下のコンクリート構造物の劣化の形態の一つである表面剥離による剥離深さ、剥離面積率及びそれらより求める剥離度を劣化指標とし、曝露実験による測定データよりその発生した劣化の程度とその度数の関係を明かにして確率密度関数化する。またその特徴を考察するとともに定量的で信頼性を考慮した経年変化の推定をするための基礎的な検討を行う。 結論 コンクリート構造物の経年変化推定のため、寒冷地海洋環境下に9年間曝露されたコンクリートの表面剥離被害の剥離深さ、剥離面積率及び剥離度の程度とその度数をワイブル分布により確率密度関数及び累積分布関数として表した場合以下の事が明らかになった。(1)剥離度に対して、形状母数α、尺度母数βによって定められる二母数ワイブル分布に適合した確率密度関数f(x)は、剥離度の分布を有意水準1%でほぼ的確に表した。 (2)剥離深さのワイブル分布の形状母数αは、α>1となり上に分布は凸型となった。剥離面積率及び剥離度は、α<1であり分布は上に凹型で左側に偏る形となる傾向があった。 (3)剥離度は経過年数とともに増加し分布が左から右に移行する傾向が認められ、ワイブル分布における形状母数αは、2年から9年の間では、 α<1でほとんど変化しないが、尺度母数βは経過年数とともに増加している。 (4)水セメント比が大きくなると剥離度のワイブル分布の形状母数αは、 α<1でほとんど変化していないが、尺度母数βは増加している。また、フライアシュの量が多くなると形状母数αは減少し、尺度母数βは著しく増加している。 今後の課題としてワイブル分布等の累積分布関数をさらにコンクリートの凍結やその他の経年変化の推定へ適用し劣化の予測の信頼性の向上をする必要がある。 |
PDFファイル名 | 011-01-1083.pdf |