種別 | 論文 |
主題 | コンクリート中における物質移動に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 河合研至 (東京大学) |
連名者1 | 小林一輔 (東京大学) |
連名者2 | 白木亮司(東京大学) |
連名者3 | 宇野祐一(ショーボンド建設) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 11 |
号 | 1 |
先頭ページ | 545 |
末尾ページ | 550 |
年度 | 1989 |
要旨 | はしがき アルカリシリカ反応はコンクリートの細孔溶液中のアルカリと骨材に含まれている反応性物質の化学反応によって進行する。しかし、骨材はコンクリート中に不連続相として分散しており、両者間の反応が進行するためには細孔溶液の移動によって骨材粒子の部分にアルカリが供給される必要がある。一方、外部からの腐食因子の拡散・浸透、例えば海洋環境下における塩化物イオンの拡散・浸透や二酸化炭素の拡散・浸透による炭酸化などは、いずれも鉄筋表面に形成されている不動態皮膜を破壊して、鉄筋腐食の引金になっている。前者をミクロなスケールの物質移動とすれば、後者はマクロなスケールの物質移動ということになろう。このように、コンクリートの細孔溶液の組成とその移動はコンクリート構造物の劣化機構と密接に関連している現象である。本文はこのような観点に立って、以上のうちのマクロな物質移動について取り上げようとするものであって、筆者らがこれまでにEPMAの面分析などを通じて確認したコンクリート中におけるNa+、K+、Cl-、OH-、CO32-などの移動とこれによって形成されたNa、K、Clなどの濃度分布について示すとともに、このような濃度分布とコンクリートの劣化との関係について論じたものである。 むすび コンクリート構造物の劣化機構を解明するためには、その内部におけるNa、K、Clなどの移動とこれによって生ずるこれらの物質の濃度勾配について明らかにすることが必要である。本研究ではマクロなスケールの物質移動について取り上げ、次のような結果が得られた。 1)コンクリート部材断面にはアルカリが一様に分布しておらず、中心部で高く、表面で低くなっている。 2)このような濃度勾配を生じていることは、アルカリシリカ反応が断面に一様に発生するのではないことを意味し、表面に生じるひびわれは、単なる膨張ひびわれではなく、内部で生じた圧縮応力により引き起こされた引張応力によって生じるものと考えられる。 3)塩化物を練り混ぜ時より含んでいるコンクリートに炭酸化が生じた場合、炭酸化部の塩化物が非炭酸化部に移動し塩化物の濃縮が生じる。 4)非炭酸化部への塩化物の濃縮は、鉄筋コンクリート構造物において、かぶり部分に炭酸化が生じたとき鉄筋近傍に塩化物が濃縮するおそれのあることを示している。 |
PDFファイル名 | 011-01-1091.pdf |