種別 論文
主題 コンクリートヘの塩分の拡散浸透に関する表面塩分量の定式化
副題
筆頭著者 丸屋剛(大成建設)
連名者1 宇治公隆 (大成建設)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
11
1
先頭ページ 597
末尾ページ 602
年度 1989
要旨 はじめに
鉄筋コンクリート構造物の塩害劣化とその耐久性が社会的問題となって以来、コンクリート中への劣化因子の浸透機構及び鉄筋の腐食機構の解明が、鉄筋コンクリート構造物の劣化度診断、耐久性診断及び耐久性設計において重要な課題となっている。 劣化因子のうち塩分の浸透機構に関しては、フィックの第2法則を種々の境界条件のもとで解くことにより解析することが一般的である。特に、表面塩分量に相当する境界条件を一定とすることは、解析が容易なこと、表面塩分量の経時変化を示すデータが僅少であったことなどから最も一般に行われてきた。しかし近年では、表面塩分量が経時的に増加する傾向を示すデータが蓄積されつつあり、表面塩分量の経時変化について1、2の定式化が既に試みられている。 本研究は、海洋環境下にある実構造物の塩分量実測データより、表面塩分量の経時変化を定式化し、塩分浸透量の予測手法の提案、検討を行ったものである。
まとめ
(1)フィックの第2法則として知られる拡散方程式を解くにあたり、境界条件を供用期間の平方根に比例する関数とすることは、実構造物における塩分量実測データに対する近似が良いことから適当である。 (2)拡散方程式の境界条件に相当する表面塩分量は、海上大気中、飛沫帯、感潮部それぞれの海洋環境下で供用期間の平方根に比例する。このときの比例定数、すなわち表面塩分量係数は、海上大気中、飛沫帯、感潮部の順に大きくなる。しかし、飛沫帯における表面塩分量係数の値の範囲は広く、その値には飛沫帯特有の要因やコンクリートの品質が大きく影響していると考えられる。従って、表面塩分量係数は構造物ごと、あるいは部位ごとに定める必要がある。 (3)表面塩分量係数は、供用環境条件に関係するコンクリート表面における拡散流束と、コンクリートの品質に関係する拡散係数の関数として表すことができる。このとき、拡散流束が大きければ、つまり供用環境からの塩分の供給量が多ければ表面塩分量係数は大きくなる。また、コンクリートの品質に関係する拡散係数が小さければ、つまり良い品質のコンクリートほど表面塩分量係数は大きくなる。 (4)実構造物の塩分量実測データから求めた見掛けの拡散係数及び表面塩分量係数を用いることにより、将来の塩分量分布を求めることができる。従って、酸素が十分に供給される環境下では、鉄筋の不働態被膜が破壊される塩分量を設定することにより、鉄筋の腐食開始年数を予測することが可能となる。 (5)本解析手法のように表面塩分量が経時的に増加するとして塩分量の分布を予測することは、表面塩分量を一定として予測するよりも安全側となる。つまり、耐久性設計において鉄筋のかぶりを定める場合、塩分が要因となる鉄筋の腐食に関しては、本解析手法により塩分の拡散浸透状況を予測することによって定めることが適当である。
PDFファイル名 011-01-1100.pdf


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