種別 | 論文 |
主題 | セメント硬化体中における塩素イオンの固定化性状 |
副題 | |
筆頭著者 | 染谷健司 (東京工業大学) |
連名者1 | 大即信明 (東京工業大学) |
連名者2 | Tiong-Huan Wee(東京工業大学) |
連名者3 | 長滝重義 (東京工業大学) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 11 |
号 | 1 |
先頭ページ | 603 |
末尾ページ | 608 |
年度 | 1989 |
要旨 | はじめに 鉄筋コンクリートの塩害が社会問題化している。鉄筋コンクリートの塩害は、塩素イオンの侵入経路によってコンクリート練りまぜ時に含まれている塩素イオン(内在塩素イオンと称する)によるものと、硬化後に侵入する塩素イオン(外来塩素イオンと称する)によるものの二種類に大別される。一方、コンクリート中の塩素イオンにはその状態として、鉄筋の腐食を起こす可溶性塩素イオンと、鉄筋の腐食には直接関わりのなくなった固定化塩素イオンとがある。従来、内在塩素イオンの挙動に関して多くの研究がなされてきたが、固定化に関してはまだ不十分な点がある。一方、外来塩素イオンの挙動に関してこれが海洋・海岸コンクリート構造物の塩害の主因であるにもかかわらず研究が不足しており、特にその固定化量についての検討はほとんど行われていない。 このため、本研究は塩素イオンの挙動について塩素イオンの固定化を中心に検討を行った。すなわち、(1)外来塩素イオンの場合と内在塩素イオンの場合とのそれぞれの固定化塩素イオン量の比較、 (2)塩素イオンの固定化量とフリーデル氏塩生成量の関係、およびフリーデル氏塩の安定性についての検討、(3)セメント硬化体中で見られた塩素イオンの濃縮現象、について検討を行った。なお、実験は骨材の影響を排除するためペースト供試体を使用した。 結論 本研究により得られた結果を以下に示す。 (1)W/C=50%の配合における内在塩素イオン最大固定化量は、セメント重量あたり約1.2%であって、外来塩素イオンの最大固定化量は約2.2%である。高炉スラグ微粉末を混和させた場合の外来塩素イオン最大固定化量は、置換率30%で約3.2%、置換率70%ではセメントと同程度であった。 (2)塩素イオンの固定化は、内在塩素イオン・外来塩素イオンを問わず、また混和材に関わりなくフリーデル氏塩の生成量と密接な関係がある。フリーデル氏塩の生成は、モノサルフェートが塩素イオンと反応して生成されるものである。また、フリーデル氏塩は二酸化炭素に対して安定性に乏しい。 (3)セメント硬化体中において塩素イオンは濃縮される。従って、コンクリート中での塩素イオンの挙動解析にあたっては、拡散現象と固定化現象の他に塩素イオンの濃縮現象を考慮する必要がある。 |
PDFファイル名 | 011-01-1101.pdf |