種別 | 論文 |
主題 | 逆打コンクリート用混和材の開発とその効果 |
副題 | |
筆頭著者 | 両角昌公 (竹中工務店) |
連名者1 | 高幣喜文(竹中工務店) |
連名者2 | 北野勝康 (竹中工務店) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 11 |
号 | 1 |
先頭ページ | 711 |
末尾ページ | 716 |
年度 | 1989 |
要旨 | はじめに 地下構造物を逆打工法で構築する場合、その打継ぎ部にはブリージング水やコンクリート自身の圧密沈下によって間隙が生じる。この間隙は、柱部材では軸力の伝達を妨げ、地下外周壁で、かつ地下水位が高い場合には漏水の原因ともなる。また、鉄筋が露出していることも考えられるため将来に亘ってコンクリート構造体としての耐久性にも悪影響を与える。 一方、この間隙を補償する工法、即ち逆打打継ぎ処理技術としては(1)直接法、および(2)注入法の二種類の方法が提案・実用化されている。 このうち注入法は、意図的に適当な間隙を作った上で、この間隙にセメント系、或るいはエポキシ系樹脂を圧力注入し構造体を一体化する方法である。このため間隙に対する充填性が高く、実際の工事ではこの方法がよく採用されている。 一方、直接法は、コンクリート自身に膨張材、或るいはノンブリージング材等の特殊混和剤(材)を添加し積極的に打継ぎ部の間隙を補償しようとする方法である。しかし、間隙発生の主原因であるブリージングやコンクリート自身の圧密沈下は、コンクリートの使用材料の物理的特性や施工時期によっても異なることから特殊混和剤のみで、この間隙を制御・補償することは困難である。従って、注入法に比べて「構造物の一体化」に対する確実性は劣ると言える。反面、注入法に比べて作業工数が少なく施工費が安価である等の利点も有していることから、直接法に対しては、より信頼性の高い工法の開発が望まれている。 本報告は、メチルセルロース(MC:ノンブリージング材)と特殊アルミニウム(ALで:膨張材)を主成分とする逆打打継ぎ用混和剤(以後、TM−5と称す)を柱並びに地下外周壁を模擬した実大試験体に直接法として適用し、その効果を注入法と比較検討した結果について述べたものである。なお、比較した特性は、TM−5を混入したコンクリートの一般的な物理的性質、打継ぎ部の曲げせん断性能(柱部材)、並びに打継ぎ部の止水性能(地下外周壁)等である。また、本報では、漏水部の新しい補修方法として、イソシアネート系樹脂による注入法を提案し、これを地下外周壁漏水部に適応した結果とその効果についても併せて述べる。 まとめ 以上の実験から、以下に示す事項が明かとなった。 a)TM−5混入は、上部と下部コンクリート間の間隙を十分に補償できる。しかし、TM−5混入前のコンクリートに比べて若干の強度低下が予想される。 b)イソシアネート系樹脂を漏水部に注入して止水する工法は、補修方法として優れている。 c)TM−5混入(直接法)における鉄筋の軸力分担割合は、注入法に比べて小さい。 d)TM−5混入の柱部材における打継ぎ部の力学的特性は、一体打ちおよび注入法と同程度であり、a)項で述べた強度低下の影響は認められない。 e)TM−5混入は、打継ぎ部の止水性能を向上させる。従って、TM−5の混入、およびイソシアネート系樹脂による漏水部の補修は、打継ぎ部の力学的特性並びに耐久性能を向上させるために優れた工法と言える。 |
PDFファイル名 | 011-01-1120.pdf |