種別 | 論文 |
主題 | 各種FRPロッドのせん断性状に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 丸山武彦(日本コンクリート工業) |
連名者1 | 本間雅人(日本コンクリート工業) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 11 |
号 | 1 |
先頭ページ | 783 |
末尾ページ | 788 |
年度 | 1989 |
要旨 | はじめに 新素材を使用した繊維強化プラスチックスの棒状体(FRPロッド)あるいは2次元、3次元編組体をコンクリート補強材として利用する研究が各方面で行われている。これらは、主としてRCあるいはPCの主筋として利用する場合の曲げ性状に関するものが多く、FRPを主筋として用いることの可能性は高く評価されつつあり、すでに炭素繊維FRPロッドについては道路橋PC桁として実用化されている。一方、梁のせん断補強筋としてFRPを用いた場合は、スターラップあるいはFRP主筋がせん断破壊を起こす場合があること、鉄筋と同様な補強の計算法では補強効果が十分得られない場合があること、FRPがひびわれをはさんで斜め方向の引張力を受けると耐力が低下すること等の報告があり、FRPのせん断耐荷性状に関する問題点も指摘されている。しかし、FRPの基本的なせん断性状に関する研究はまだ非常に少ない。 本研究は、各種のFRPロッドのせん断性状を把握することを目的として、push-offタイプのコンクリート供試体中に数種類の配置角度で埋設したFRPロッドの間接一面せん断試験を行い、その結果について考察したものである。 結論 配置角度を変えてコンクリート中に埋設したFRPロッドの間接一面せん断試験の結果をまとめると以下のようになる。 (1)FRPロッドのせん断強度は、ロッドがせん断力を受ける角度によって大きく異なり、角度に対して直線的な関係がある。 (2)せん断強度が低下する割合は、FRPロッドの種類によって異なる。 (3)ロッドが軸方向に引張られる形になる配置角度(15〜30°)においては、せん断強度の低下は少なく、炭素繊維の場合はむしろ増加して引張強度以上であった。 (4)ロッドが軸方向に圧縮される形の角度(-15〜-30°)でせん断力を受ける場合の強度は著しく低下する。例えば-30°の場合は、0°のせん断強度に対して炭素繊維で約30%、アラミド繊維で約50%、ガラス繊維で約30%であった。 (5)せん断強度の引張強度に対する割合は、炭素繊維の場合は15°を超えると100%以上になったが、アラミド、ガラス繊維及び鉄筋の場合は30°でも100%を超えなかった。 (6)せん断面のずれ変位は繊維の種類と配置角度によって異なり、アラミド、ガラス、炭素繊維の順に大きかった。 以上のように、FRPロッドのような異方性の複合材料のせん断強度特性は、繊維の種類や配置角度あるいは力を受ける方向によって異なることが明らかになった。しかし、FRPロッドのせん断強度はコンクリートのひびわれ幅の大きさ、ロッドに作用している軸力の大きさや方向、あるいはロッドの周りのコンクリートの強度や弾性係数などの影響も受けることが考えられるので、今後十分なデータを積み重ねることが必要である。 |
PDFファイル名 | 011-01-1133.pdf |