種別 | 論文 |
主題 | 数量化理論を用いたコンクリート構造物のひびわれ幅の評価 |
副題 | |
筆頭著者 | 松島学(東電設計株式会社技術開発本部) |
連名者1 | 松井邦人(東京電機大学理工学部) |
連名者2 | 金子雄一(東電設計株式会社第二土木本部) |
連名者3 | 関博(早稲田大学理工学部) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 11 |
号 | 2 |
先頭ページ | 139 |
末尾ページ | 144 |
年度 | 1989 |
要旨 | はじめに 近年、コンクリート構造物の耐久性が大きな問題として取り上げられてきている。耐久性評価の一つの基準にコンクリート構造物に発生するひびわれがある。構造物にひびわれが発生している場合、ひびわれを通して水分、O2、Cl-などが侵入するためコンクリート中の鋼材に腐食を生じさせることは、明らかなことであるが、ひびわれに寄与する因子がどの程度劣化を促進させるものであるのか、因子間の影響度合がどのようになっているかなどは、まだ明確に示されていない。この問題については、概念的手法を用いて数多くの研究がなされているが、現時点では、解析モデルを用いて構造物への応用するに至っていない。本研究は、高度の知識を有する専門家の知見を借りて既存のひびわれに関して実施されたひびわれ補修の要否のアンケート調査結果をもとに、ひびわれ幅に関する各因子の影響度合の評価を行い、その結果から定量的な補修判断の評価について若干の解析を試みたものである。さらに、解析によって得られたひびわれ幅の許容値とコンクリート標準示方書との比較をおこなった。 まとめ 本研究では、高度の知識を有する専門家の知見を借りて、既存のひびわれに関して実施されたひびされ補修の要否のアンケート調査結果をもとに、ひびわれ幅に関する各因子の影響について評価を行い、その結果を用いてひびわれ幅の許容量を評価する手法を提案した。そして、その手法によって得られたひびわれ幅の許容値とコンクリート標準示方書との比較をおこない、若干の考察を加えた。以降に得られた結果を要約する。(1)アンケート結果をもとに、表面のひびわれ幅の補修の要否の必要性を評価するための関数P0(W)を定義し、その関数を利用して各条件での平均ひびわれ幅W及び変動量WLを求めた。(2)平均ひびわれ幅Wと各因子の関係から、ひびわれ深さは貫通した場合、鉄筋に沿ったひびわれの場合及び環境条件が大きく影響する。そして、平均ひびわれ幅で劣化に大きく寄与する因子は意見の不一致度が高い。(3)平均ひびわれ幅Wと変動量VWからひびわれ幅の許容値Wcrを定義した。その結果、全体的に本研究での解析結果は、コンクリート標準示方書と比較して大きな値となり、示方書はかなり安全側の設定をしてあることがわかる。しかし、示方書の許容ひびわれ幅は、荷重により生じる曲げひびわれを対象にしているのに対して、本研究で検討している許容ひびわれ幅は、ひびわれ補修を対象としているため、温度ひびわれ、施工などの影響が原因で生じたひびわれを含むものと思われる。従って、補修が必要と判断されるひびわれ幅が示方書の許容ひびわれ幅より大きくなったものである。 |
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