種別 論文
主題 繰り返し荷重を受けるRC構造物の終局変位に関する基礎的研究
副題
筆頭著者 中村光(名古屋大学大学院)
連名者1 田辺忠顕(名古屋大学工学部)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
11
2
先頭ページ 281
末尾ページ 286
年度 1989
要旨
コンクリート構造物の合理的な耐震設計を行うためには、最終的に振動中の構造物が崩壊する終局破壊点を予測することが不可欠と思われる。しかし現状においては、実験的にも解析的にもそれらを精度よく評価する手法は確立されていない。そこで現在の段階では、それに代わるものとして部材の塑性変形能(靱性)を考慮し、靭性が確保されれば構造物は崩壊しないという仮定によって設計を行っている。ここで使われている部材の変形能については、部材の断面定数あるいは、断面に作用している応力のみで決定されると一般に考えられているが、これは逆にいえば局部的な断面の耐荷力が低下しないなら、構造物は安定な状態を保つという考え方である。しかし大きな軸力が作用する構造物では、仮に局部的な断面耐荷力の低下がなくても、構造自体の大変形効果により早期に構造物としての耐荷力を失うことも考えられる。鉄筋コンクリート構造物におけるこの種の大変形の問題は、現在までほとんど論じられることがなかったが、構造物の終局変形を論じるためには、この観点からの考察が必要と思われる。そこで本研究では、鉄筋コンクリート構造物における靭性の評価及び終局破壊点の予測を目的として、曲げ変形並びにせん断変形を考慮した有限変形問題の定式化を行い、解析理論を構築するとともに、一定軸力を受けるRC柱の正負繰り返し載荷試験を行い、その妥当性を確認した。そして、せん断剛性・軸力・スターラップ量が靱性率に及ぼす影響を解析的に明らかにすることを試みた。
結論
本研究に於て、鉄筋コンクリート構造物の塑性変形能及び終局変位に影響を及ぼす要因について解析的検討を行い、終局破壊に到るまでの理論的解明の可能性の検討をおこなったが、その結果以下の結論を得た。1)本解析手法は繰り返し載荷時の鉄筋コンクリート柱の挙動を精度よく再現でき、実験との比較によりその妥当性が確認された。2)P−d効果により耐荷力は早期に大きく減少するためこの効果を考慮する必要がある。3)部材の靱性へ及ぼすせん断変形の影響を解析的に求められる可能性を示した。4)本手法は、鉄筋コンクリート部材の塑性変形性状を理論的に解明するうえで有力な手法となりうる。
PDFファイル名 011-01-2046.pdf


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