種別 | 論文 |
主題 | 鉄筋コンクリート構造物のせん断破壊に与える変形速度効果 |
副題 | |
筆頭著者 | 竹田仁一(熊本工業大学) |
連名者1 | 高木秀幸(熊本工業大学) |
連名者2 | 谷川達彦(熊本工業大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 11 |
号 | 2 |
先頭ページ | 299 |
末尾ページ | 304 |
年度 | 1989 |
要旨 | まえがき 大地震、衝撃などによって鉄筋コンクリート構造物に発生するせん断クラックを防止することは古くて新しい問題であり、種々の提案はなされているもののまだ根本的な解決にはいたっていない。筆者等は昨年に引き続き、破壊力学にもとづくモード2のモルタル試験体によるせん断クラック拡大実験を行い、以下に報告するように脆性的なせん断クラックの拡大が高速変形時のクラック進展抵抗力(crack extension resistance)の激減の結果発生すると考えられる結果を得た。つまり、この場合のクラック拡大には、大きなエネルギーは要らないのである。クラック進展抵抗力(クラック開放エネルギーGFに等しい)は静的なせん断クラック拡大では逆に極めて大きな値を示すのである。つまり、脆性的なせん断クラック拡大はクラック拡大速度に及ぼす変形速度の影響(変形速度効果)と考えることができる。もっともコンクリート中のクラック拡大に及ぼす載荷速度の影響については既に、モード1の実験においても認められているが、モード2の場合とちがって静的載荷と高速載荷の場合のクラック進展抵抗力の著しい違いは見られなかった。ところで、上述のモード2のこの実験結果は破壊力学だけに限られるのであろうか。筆者の一人が以前行った鉄筋コンクリート梁せん断実験では高速載荷時、試験体が爆裂的に破壊した。斜めクラックが瞬間的に拡大したのである。そこで、これらのせん断クラックの高速拡大と上述のモード2の実験結果との間にどのような関係があるかを検討した。 結論 1)破壊力学におけるモード2のモルタル試験体静荷重実験から得られた限界応力拡大係数(破壊靱性)はモード1の静荷重実験の値の約2倍となった。従って、せん断クラックの不安定拡大の開始は、静的載荷のもとでは引張りクラックの場合よりおこり難いことが知られた。2)モード2の静荷重実験で得られた解放エネルギーGFもモード1の静荷重実験の場合より著しく大きく、そのためせん断クラックが静的に拡大し難いことが知られた。また、せん断面の電子顕微鏡写真の検討からこの場合、せん断クラックが極めて複雑に拡大することがわかった。3)モード2試験体の衝撃実験では試験体に透過した応力波の応力が静荷重実験の半分にも充たない大きさでクラックが高速に拡大した。破面の電子顕微鏡写真からもクラックが脆性的に拡大したことが認められた。これはクラック拡大に対する速度効果によると考えられる。4)せん断クラックの脆性的拡大が実際の鉄筋コンクリート構造物にも発生するかどうかを検討した。或るガス爆発事故における床スラブの鋭利なせん断破壊がその1例であることが知られた。5)鉄筋コンクリート梁の高速せん断実験において爆裂的なせん断破壊が発生したが、この場合も高速載荷時のせん断クラック拡大の特性が影響したと考えられる。 |
PDFファイル名 | 011-01-2049.pdf |