種別 論文
主題 上下地震動により鉄筋コンクリート柱に生じる軸方向力の評価法
副題
筆頭著者 菊池健児(大分大学工学部)
連名者1 吉村浩二(大分大学工学部)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 439
末尾ページ 444
年度 1989
要旨 はじめに
通常の中低層鉄筋コンクリート(以下、RCと略す)造架構に対する現行の耐震設計法では、地震動の上下成分が建物の構造安全性に与える影響については特に考慮されていない。しかしながら、近年の建物の地震被害の中には上下地震動の影響があったと考えられる事例もいくつか報告されていることや、近年地震観測網が整備されるにつれ、地震動の水平成分よりも卓越した上下成分の加速度記録が得られつつあることなどを考慮すると、上下地震動がRC造建物の応力・変形に無視できない影響を及ぼすことが懸念される。1975年大分県中部地震により大きな被害を受けたRC造ホテル1階が上階に比較して水平・鉛直剛性の低い層(いわゆる“Soft Story”)となっており、その被害調査報告およびその後の研究により、1階柱の被害に地震動の水平成分ばかりでなく、上下成分も影響を及ぼした可能性が考えられることなどの観点から、筆者らは主に下層部にSoft Storyを有する中低層RC造有壁架構を対象として、上下地震動が架構の動的弾性挙動に及ぼす影響を数値解析により検討して来た。その結果、上下地震動が部材断面力に及ぼす影響は柱軸方向力に最も大きく現れ、最大加速度100Galの上下地震動により1階柱の軸方向力が鉛直荷重時軸方向力の約10%〜40%程度増減すること、水平地震動によって比較的大きな曲げモーメントやせん断力が柱に発生する時刻において上下地震動による大きな柱軸方同力の増減が起こる場合があることなどが明らかになった。これらのことを考慮すると、特に震央距離が近い地震動(上下成分が水平成分より卓越する場合がある)などを受けることが予想されるRC造建物の下層部の柱の設計において、上下地震動を考慮する必要があるのではないかと考えられる。このような上下地震動による柱軸方向力の変動量を評価するにあたっては、建物を立体架構としてモデル化し、各節点に作用する鉛直方向憤性力を考慮して解析することが望ましいが、この方法では少なくとも建物の全節点数を自由度とする剛性マトリックスを用いた解析となるため、必ずしも実用的な方法とは言えない。そこで本論では、主に下層部にSoft Storyを有する中低層RC造架構を対象とし、現行の1次設計を対象とした弾性範囲内において上下地震動による柱軸方向力を算定するための比較的簡便な振動解析用置換モデルを提示し、この置換モデルを用いて算出した柱軸方向力の精度を検討する。
まとめ
上下地震動を受ける中低層鉄筋コンクリート造有壁架構および無壁架構の桂軸方向力を比較的簡単な解析モデルを用いて評価する方法を検討した。本論では壁配置を考慮して作成する層数と同じ自由度の鉛直ばねモデルを提示し、本モデルを用いた解析結果を有壁および無壁立体モデル架構および実在建物の立体解析モデルに対する動的応答解析結果と比較した結果、本モデルを用いることにより、上下地震動による柱軸方向力応答を良い精度で評価できることが確認された。
PDFファイル名 011-01-2073.pdf


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