種別 論文
主題 高水圧下におけるフレッシュコンクリートの耐水性に関する研究
副題
筆頭著者 鬼頭誠(鉄道建設公団設計室)
連名者1 末永充弘(鉄道建設公団設計室)
連名者2 青景平昌(フジタ工業技術研究所)
連名者3 伊藤祐二(フジタ工業技術研究所)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 55
末尾ページ 58
年度 1990
要旨 はじめに
近年の都市機能の高度化にともない、大深度地下空間の有効利用が叫ばれている。新しいシールド工法の一種である直打ちコンクリートライニング工法は、一般のセグメント工法と比べて、幾つかの利点を期待できるがゆえに注目されている。本工法を大深度の高水圧下に適用する場合には、コンクリートは打設直後から地下水圧を受け、コンクリート中への地下水の浸透、あるいは内型枠やプレスリングのシール部の微小な隙間からの漏水による品質低下が起る可能性がある。そこで、このように外部からの水圧の作用を受ける場所に打設したコンクリートの、フレッシュ時あるいは硬化後の品質低下に対する抵抗性を耐水性と呼ぶこととし、硬化前の透水性状と硬化後の強度特性を評価するための試験装置を作製した。本報告はコンクリートの配合、部材厚、排水条件等が耐水性に与える影響を実験的に検討した結果をまとめたものである。
おわりに
高水圧の影響を受けたコンクリートの品質低下に対する抵抗性を耐水性と呼び、直打ちコンクリートライニング工法を想定した場合のフレッシュコンクリートの透水性状と透水状態のまま硬化させたコンクリートの強度特性を、試作した耐水性試験装置を用いて実験的に検討した。実験は、直径30cmのコンクリート供試体の片面に6kgf/cm2の水圧を作用させて行なった。本研究の範囲内から、以下の点が明らかになった。(1)まだ固まっていないコンクリート版(厚さ10〜30cm)の片面に水圧(6kgf/cm2)をかけると、通常のコンクリートでは、加圧直後から透水するが、セルロース系特殊混和剤を用いた粘性コンクリートではほとんど水を通さない。(2)片面に水圧(6kgf/cm2)をかけたまま硬化させたコンクリートの圧縮強度を標準養生供試体の強度と比較すると、通常のコンクリートでは透水の影響により強度が低下するが、粘性コンクリートでは加圧力による圧密と空気の体積縮小の効果によって、逆に強度は増加する。(3)セルロース系特殊混和剤を用いた粘性コンクリートは、コンクリート自身が止水機能を持つため、施工中の型枠に隙間等が生じても、漏水を防ぐと同時にコンクリートの品質低下も防ぐ効果がある。(4)粘性コンクリートにスチールファイバーを混入しても耐水性にはほとんど影響はない。(5)コンクリートの耐水性を改善するためには、特殊混和剤の使用は極めて有効である。最後に、セルロース系特殊混和剤を用いた粘性コンクリートは、フレッシュな状態で高水圧を受けてもほとんど水を通さず、硬化後の強度も増大する。高水圧下で施工される直打ちコンクリートライニング工法用のコンクリートとして、非常に優れた耐水性を有していると言える。
PDFファイル名 012-01-1007.pdf


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