種別 | 論文 |
主題 | 新しい耐寒剤を用いたコンクリートの性状について |
副題 | |
筆頭著者 | 寺田米男(北海学園大学工学部) |
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キーワード | |
巻 | 12 |
号 | 1 |
先頭ページ | 59 |
末尾ページ | 64 |
年度 | 1990 |
要旨 | はじめに 日本建築学会:寒中コンクリート施工指針・同解説では、寒中コンクリートの期間を材令28日までの積算温度Mが370。D・D以下となる時期と規定し、土木学会:コンクリート標準示方書では、平均気温が4℃以下になることが予想されるときと規定している。これは、札幌市などを例にとると、11月1日から3月20日までの約5ヶ月は寒中コンクリートの期間となり、(JASS5では東京都には寒中コンクリートの期間はない)初期凍害防止に必要なコンクリート強度50kgf/cm2を得るまでに積極的な養生を行う必要があることを義務づけている。このため、コンクリートを断熱養生か加熱養生しなければならず、それらに要する労力、経費は大きいものであり、これらの事態を回避するため、冬期間建設工事を休止することも多く、社会、経済に与える影響は大きい。現在、日本建築学会:JASS5、土木学会:コンクリート標準示方書では、コンクリートの調合、配合において寒中コンクリートでは水セメント比を小さくしたり、AE剤、AE減水剤の使用は認めているものの、耐寒剤の類は有害の疑いが大きいとして認めていない。従前、塩化カルシウムその他の防凍剤を使用されることがあったが、初期強度は高くなるが長期強度が低下したり、鉄筋を腐食させたり、乾燥収縮が大きいなどコンクリートの耐久性を損なうことがあるとして、仕様書から全面的に削除されて今日に至っている。最近、2社が相次いで、低アルカリ、無塩化の新しいタイプの耐寒剤を開発した。これらの耐寒剤は、コンクリートの凍結温度を下げ、打設後の初期凍害を防止し、低温時のセメントの水和を促進し、長期的耐久性を損わないなどの性能を有するものであれば、現場における養生設備は大幅に軽減され、冬期間工事を容易にするものである。これらの趣旨に基づき、温度を-10℃まで低下させたコンクリートの強度その他の性状についての結果を報告する。 まとめ 本実験においては、アルカリ量の少ない新しいタイプの耐寒剤の性能についてのいくつかを試験をした。このなかには、まだ固まらないコンクリートの運搬時間中の経時変化や硬化したコンクリートのアルカリ骨材反応などを含んでいないが、つぎの諸点について知ることができた。(1)耐寒剤を用いたAEコンクリートは、通常のAEコンクリートより単位水量を減ずることができる。(2)空気の連行性は正常であり、ワーカブルなコンクリートが得られる。(3)標準養生の場合、耐寒剤を用いたものの圧縮強度は、使用しないものの強度を各材令とも上廻った。(4)-10℃〜+5℃を1日1サイクルとした低温養生の場合、最初の1日を5℃養生をして凍結を防止したが、材令2日以降、すべての種類のコンクリートにおいても初期凍害を受けていない。(5)(4)のような養生を行った場合、初期凍害を防止するために必要な強度50kgf/cm2を得るために必要な日数は、耐寒剤を用いた場合、すべて2日以内となり、使用しない場合と比較し養生期間を30〜40%低減できる。(6)コンクリートの乾燥収縮は、耐寒剤を用いた場合、使用しないものより、若干小さくなったが、耐寒剤の成分によるものか否かは定かではない。今後はコンクリート打込み直後からの養生条件を厳しくし、どの程度の苛酷な条件まで耐えれるかについて検討したい。 |
PDFファイル名 | 012-01-1008.pdf |