種別 論文
主題 高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートの強度に及ぼす練り混ぜ方法の影響
副題
筆頭著者 檀康弘(新日鐵化学高炉セメント技術センター)
連名者1 牧角龍憲(九州大学工学部)
連名者2 阪本好史(新日鐵化学高炉セメント技術センター)
連名者3 小森達也(九州大学大学院)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 81
末尾ページ 86
年度 1990
要旨 まえがき
高炉スラグ微粉末(以下GBFSと称する)は、コンクリートの耐久性や水密性の改善に極めて有効であり、特にアルカリ骨材反応の抑制や硫酸塩抵抗性などに優れている。この特長を利用して、海洋構造物など過酷な環境下のコンクリートに、普通ポルトランドセメント(以下OPCと称する)や早強セメントの混和材として使用するという検討が各方面で行われている。しかしながら一方で、GBFSを混和材として使用する場合には、コンクリートの初期強度が低いためにOPC以上に十分な初期養生あるいは湿潤養生が必要とされ、このことがGBFSの混和材としての課題になっている。また、低温時の強度発現性状がOPCと比較して低下するとされておりGBFSを混和材として使用する上では、低温時の初期強度発現性状の改善も求められている。そこで著者らは、GBFSを混和材として通常のコンクリート施工に適用するために、GBFSを用いたコンクリートの初期強度を改善する方法を検討し、その耐久性や水密性を十分に生かしたセメントコンクリートの開発を行っている。GBFSを用いたコンクリートの初期強度発現性状を改善する方法としては、ブレーン値6000〜8000cm2/gといった超微粉末のGBFSを用いる方法や、促進型のAE減水剤を用いる方法等が報告されている。このとき、ブレーン値4000〜5000cm2/gのGBFSの生産性が高いことを考慮すれば、後者がより実用的である。この改善効果をさらに高めるために著者らは、GBFSに対するアルカリ刺激に着目して、GBFSとOPCをそれぞれ別々に練り混ぜるという方法(以下分割練り混ぜと称する)による、初期強度増進を誠みた。すなわち、別々に練り混ぜた後にそれらを混合することにより、あらかじめ接水させたGBFSをpH12以上の状態のセメントペースト中に混入することになり、より効果的なアルカリ刺激が得られて、GBFSの反応が促進できると考えている。先に行ったモルタルによる実験の結果、この分割練り混ぜによって材令3日の圧縮強さが10〜15%程度増進することが確認された。そこで本研究では、さらにコンクリートとしての性状を把握することを目的として、分割練り混ぜが長期も含めた強度に及ぼす影響と、耐久性の一つの指標となる細孔径分布に及ぼす影響を検討した。また養生条件を変えた実験を行い、養生温度や初期水中養生期間の影響も検討した。その結果、低温や気中などの悪条件も含めたいずれの養生条件においても、材令7日までの初期の強度が増進し、全細孔量も減少した。ここにその報告をする。
まとめ
(1)分割練り混ぜを行うとGBFSの初期の反応が促進され、より早期に密実な構造を作り上げるため、練り混ぜNと比較して、材令7日で全細孔量が20%程度小さくなった。これにともなってコンクリートの初期の圧縮強度が、練り混ぜNと比較して材令1日で15〜35%、3日で5〜15%、7日で10〜15%程度上回った。また材令28日以降の長期強度は、初期の反応が緩やかである練り混ぜNの伸びが大きくなり、分割練り混ぜの効果が小さくなる。(2)本実験で行ったいずれの養生方法においても分割練り混ぜにより初期強度の改善効果は発現された。また初期の水中養生期間の短いほど、その効果が大きい傾向にあった。(3)5〜30℃のいずれの養生温度についても分割練り混ぜの効果が認められ、特に材令1日の強度発現に大きな影響を及ぼした。30℃の場合には練り混ぜNよりも60%程度も強度が増進するなど、温度が高くなるにしたがって、より早期に強度が発現する傾向にあった。(4)材令7日までの初期の圧縮強度は、モルタルではS2が最大であり、コンクリートではS1が最大となった。これはミキサの違いあるいはAE減水剤の添加方法の違いにより、凝結やコンシステンシーの影響によるものと考えられる。
PDFファイル名 012-01-1012.pdf


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