種別 論文
主題 サスペンション要素法によるフレッシュコンクリートの流動解析
副題
筆頭著者 谷川恭雄(三重大学工学部)
連名者1 森博嗣(名古屋大学工学部)
連名者2 渡辺健治(三重大学大学院)
連名者3 野田豊(三重大学工学部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
12
1
先頭ページ 257
末尾ページ 262
年度 1990
要旨 まえがき
フレッシュコンクリートの流動性を解析的に予測する技術は、「施工設計法」を確立するための基礎となるものであるが、一方では、コンクリート工事の合理化・省力化・さらには自動化を目的とした新材料と新工法の開発・研究にも貢献する重要な課題のひとつである。近年、フレッシュコンクリートの各種特性を、レオロジーの立場から整理し、解析の入カデータとなりうる定量的な表現を試みた研究が数多く報告されており、比較的軟らかいフレッシュペーストおよびフレッシュモルタルの性質を、ビンガムモデルによって表現することが一般的になりつつある。しかしながら、粗骨材を含んだフレッシュコンクリートの構成則に関しては、かなり軟らかい調合のものであっても、その挙動を均質な材料として単純なモデルで表現することは難しく、コンクリートをビンガムモデルと仮定して求めたレオロジー定数の測定値には、研究者や試験方法によって大きな差異が見られるのが現状である。一方では、フレッシュコンクリートを固体相と流体相から成る複相材料とみなして解析を行った研究が報告されており、また、比較的軟らかいコンクリートでも、骨材のインターロックを考慮した、すなわちビンガムモデルの降伏条件を修正した構成則を用いることの必要性が実験および解析によって示されている。つまり、コンクリートの流動性状を正確にシミュレートするためには、ビンガムモデルよりもさらに複雑な構成則を用いてコンクリートの流動性状を実験的に定量化するか、あるいは、モルタルのレオロジー性質を入力値として、骨材の影響を考慮した解析手法を用いるか、のいずれかのアプローチが必要である。筆者らは、既にフレッシュコンクリートの汎用的な流動シミュレーション手法として、粘塑性有限要素法(Viscoplastic finite element method、VFEM)を提案し、その妥当性および適用範囲を示してきたが、上記の理由から、骨材相とマトリックス相から成る二相モデルを用いたサスペンション要素法(Viscoplastic suspension e1ement method、VSEM)を新たに開発した。既報では、フレッシュコンクリートのテーパー管内での流動挙動のシミュレーションをパーソナルコンピュータを用いて行い、その流動性状の解明に解析的なアプローチが可能であることを示した。引き続き本報では、大型計算機を用いてVSEM解析を行い、各種条件下におけるフレッシュコンクリートの流動性状に関する解析例を示し、本解析手法の適用性について述べる。
まとめ
本報では、サスペンション要素法(VSEM)を用いて、フレッシュコンクリートの流動シミュレーションを行い、若干の解析例を示した。本解析手法は、要素構成の自由度が高いため、コンクリートの複雑な大変形をシミュレートすることが可能である。また、レオロジー試験によって比較的容易に求められるモルタルのレオロジー性質を入力値として用いることができることも本解析手法の特長の一つである。さらに、フレッシュコンクリートを二相材料として取り扱っているため、流動空間に障害物が存在する場合の回避流動を、骨材相とマトリックス相の影響を考慮してシミュレートすることが可能である。
PDFファイル名 012-01-1043.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る