種別 論文
主題 フレッシュコンクリートの単位水量迅速判定法に関する実験的検討
副題
筆頭著者 小林茂敏(建設省土木研究所)
連名者1 高橋弘人(建設省土木研究所)
連名者2 森濱和正(建設省土木研究所)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 307
末尾ページ 312
年度 1990
要旨 はじめに
コンクリートの品質を代表する圧縮強度は所定の材令を経過した後に試験されているため、仮に試験の結果不合格となった場合の対応は極めて困難となる。このため、コンクリート打設の可否を現場で判断できる試験方法が必要とされる。コンクリートの水セメント比は、硬化コンクリートの圧縮強度の直接的な因子であるが、このうち単位セメント量は生コンの製造時に自動計量記録によって確認できるものの、フレッシュコンクリートのみならず硬化コンクリートの耐久性などの諸特性に大きな影響を及ぼす単位水量は、骨材の粒度分布、粒形あるいは表面水率が変動しやすいことや、所定のスランプに適合するよう単位水量を随時補正しているため、練りまぜに用いた真の値は正確には判明しないのが現状である。さらに、流動化コンクリートや水中不分離性コンクリートなどフレッシュコンクリートのコンシステンシーが判然としないものや単位水量が極端に少ない超硬練りコンクリートを使用する現状からも単位水量確認の必要性は高まっていると考えられる。筆者らは、昨年種々のフレッシュコンクリートの早期品質判定に関する比較実験の結果から単位水量の早期判定試験にはコンクリートを試料とするのがよいことを報告したが、判定原理が単純でコンクリートを直接試料とした大型乾燥炉試験装置(以下、乾燥炉法)における単位水量の測定精度は95%信頼限界で10kg/m3程度配合値と差があり、このため測定精度の向上が課題として残されていた。そこで今回は、乾燥炉法によるフレッシュコンクリートの単位水量判定の精度の向上について検討することとした。
まとめ
今回筆者らは、昨年の試験結果をもとに、現場で簡易にフレッシュコンクリート中の単位水量を判定することを目的に乾燥炉法を取り上げ、測定精度向上のための試験を行った。その結果、乾燥炉法による試験方法と測定値の補正方法は以下のようにすればよいことがわかった。(1)試験方法1)コンクリートの試料重量は、誤差倍率を小さくし、配合が縮分されたものとなるよう大きくすることが望ましい。今回の試験では、試験装置や加熱に要する時間から5kgとした。2)試料の加熱温度は200℃以上とする必要がある。これに要する時間はコンクリート配合によっても差はあるが、およそ15〜20分である。3)乾燥重量を測定した試料から粗骨材を洗いだして重量を測定する。(2)測定値の補正方法1)加熱後の乾燥重量は、試料を200℃程度まで試料温度を下げれば、加熱された空気の密度の式(3)から試料温度が20℃の時の試料重量を計算で求めることができる。2)使用材料が同じでコンクリート配合が変化する場合は、事前に200℃以上のある一定の試料温度での単位水量の測定値とコンクリート配合との関係を重回帰式で求めておけば、測定値の補正をすることができる。3)試料から洗いだした粗骨材量から(7)および(8)式で試料採取の影響を補正する。(3)なお、今回の試験では、JIS試験法で得られた細骨材吸水率に比べて乾燥炉法で得られた結果が0.23%大きかった。このため、試験結果の計算では乾燥炉法で得られた吸水率を用いたが、仮に細骨材の吸水率が0.2%程度異なるとすると、単位水量測定値はおよそ1.4〜1.8kg/m3の影響を受ける。このため、細骨材の吸水率を正確に求める方法、特に細骨材の表乾状態の判定に関する検討が必要といえる。以上の試験方法、補正方法に従えば、試験時間は30分程度でフレッシュコンクリート中の単位水量を±1.1 kg/m3の範囲内で精度よく判定することができた。これは、現場でのコンクリート打設にあたって単位水量の異常値のチェックに極めて有効なものと考えられる。このため、今後は現場での適用性について調査する予定である。
PDFファイル名 012-01-1052.pdf


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