種別 | 論文 |
主題 | 引張を受ける異形鉄筋周辺の内部ひびわれがかぶりコンクリートの透気性に及ぼす影響 |
副題 | |
筆頭著者 | 氏家勲(宇都宮大学工学部) |
連名者1 | 長瀧重義(東京工業大学工学部) |
連名者2 | 佐藤良一(宇都宮大学工学部) |
連名者3 | 石川浩三(宇都宮大学工学部) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 12 |
号 | 1 |
先頭ページ | 407 |
末尾ページ | 412 |
年度 | 1990 |
要旨 | はじめに 鉄筋コンクリート構造物のかぶりは、コンクリートの密実さを阻害する施工不良などの欠陥がないものとして、コンクリートの品質、鉄筋直径、環境条件、施工誤差、構造物の重要度などを考慮して定める必要があるとされている。しかしながら、引張を受ける異形鉄筋周辺には鉄筋コンクリート部材表面には現れない内部ひびわれが発生することが報告されている。内部ひびわれは鉄筋応力度が1000kgf/cm2に到達する以前にすでにその発生が認められており、使用状態においては避けることのできない現象である。この内部ひびわれは塩素イオン、酸素などの鉄筋腐食因子の侵入を促進すると考えられるが、内部ひびわれによるコンクリートの密実さの低下に関して検討を加えた研究はほとんど行われていない。そこで本研究は鉄筋コンクリート引張部の鉄筋一本当りの部分を取り出した両引き供試体を用いて、コンクリート中の物質の移動割合の測定方法の一つである透気試験により内部ひびわれによるコンクリートの密実さの低下を評価したものである。本研究では内部ひびわれ性状に影響を及ぼす要因として、鉄筋の種類、鉄筋に作用する引張応力度、鉄筋径、かぶりを取り上げた。そして各要因の異なる供試体の透気性状を把握し、引張力の作用しない供試体の透気係数と比較を行い、内部ひびわれの影響を考慮して有効に機能するかぶりについて検討を加えることを試みた。 結論 本研究で得られた結果をまとめると以下のとおりである。1)引張力を受ける両引き供試体において、丸鋼を用いた場合の透気係数は作用応力度の大きさにかかわらず無筋コンクリートの値とほぼ同じである。しかしながら、異形鉄筋を用いた場合の透気係数は内部ひびわれの発生により鉄筋応力度の増加と共に大きくなる。2)引張力が作用することによって増加する異形鉄筋を用いた供試体の透気係数の増加の程度は鉄筋径が大きいものほど大きく、また、鉄筋径が大きいものほど低い鉄筋応力度から透気係数が増加する。3)内部ひびわれゾーンの範囲は鉄筋の引張応力度が同じであれば、主にふしの高さおよび間隔に依存するため、同じ鉄筋を用いた場合、供試体のかぶりが薄くなるにつれて、引張力の作用による透気係数の増加割合は大きくなる。4)両引き供試体中の空気の流れに関する計算結果から、透気係数の大きい内部ひびわれゾーンは空気が流れやすいため、内部ひびわれゾーンに向かう流速成分が生じ、内部ひびわれゾーンの流速は速くなる。5)作用する鉄筋応力度が同じ場合、鉄筋径およびかぶりの異なる供試体の透気係数は鉄筋径に対するかぶりの比の関数として表すことができる。また、鉄筋径に対するかぶりの比が大きくなるにつれて、引張力を受けた供試体の透気係数は引張力を受けていない場合の値に近づく。 |
PDFファイル名 | 012-01-1069.pdf |