種別 | 論文 |
主題 | コンクリートの中の塩素イオンの挙動に関する実験研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 枝広英俊(芝浦工業大学工学部) |
連名者1 | 依田彰彦(足利工業大学工学部) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 12 |
号 | 1 |
先頭ページ | 419 |
末尾ページ | 424 |
年度 | 1990 |
要旨 | まえがき 鉄筋コンクリート中に練り混ぜ時から多量の塩素イオン(以下、Cl-とも記す)が存在すると、内部鉄筋の発錆を著しく促す。現在、フレッシュコンクリートのCl-総量の測定には(財)国土開発技術研究センターより評価を受けた機器による方法が用いられている。また、硬化したコンクリート中の全Cl-量や可溶性Cl-量はJCI規準(案)のCl-選択性電極を用いた電位差滴定法かクロム酸銀-吸光光度法および硝酸銀滴定法が一般的に採用されている。しかし、フレッシュ時や凝結・硬化後のコンクリート中のCl-の挙動については、概念的には捉えられているものの、定量的な面で十分解明されていないのが実情である。また、試料の採取材含・箇所や粉砕量の多寡・割合などによっても差異を生じることが予測される。そこで本実験研究では、電位差滴定法によって全Cl-量と可溶性Cl-量を測定し、主に1シリーズでは試料採取・粉砕量や打込み高さの違いを、また、2シリーズではスランプや採取材令の違いで測定したCl-量の差異、水平鉄筋の上端と下端における差異、およびオートクレーブ試験による影響などについて定量的に把握し、塩素イオンの拳動を究明することを目的とした。 まとめ 本実験研究では、塩素イオン総量が1.2kg/m3と計画した硬化後のコンクリートについて、その挙動を把握するため、全Cl-量と可溶性Cl-量を定量し、試料の採取方法や定量方法、スランプの違いおよび鉄筋の存在による影響などを検討した。その結果、得られた主な結論を以下に列記する。(1)試料の採取量によってCl-量の定量値は異なり、概して採取量が少ないと多くなり40gないしは60gを超えるとほぼ一定値が得られる。これは、細・粗骨材の採取割合の影響が大きい。(2)打込み高さの違いでは、図-3による上・中・下段で比較すると、ブリージング水が上段または打込み面まで上昇し切れない影響もあって、本実験では中段≧上段>下段の関係にあった。(3)粉砕割合によって定量値は大きく影響を受けるので、全粉砕か否かを明記すると良い。(4)スランプの違いでは、15cmが21cmに比べてコンクリート内部に残存するCl-量が多い。(5)材令の経過に伴うCl-量の定量値は、同じ分析方法によると着材令に比べて材令28日や56日などの長期材令ほど漸減するが、材令28日以降の減少率は次第に小さい傾向にある。(6)鉄筋の上端と下端を比較すると、上段筋と中段筋では下端が多く、下段筋では同程度か上端がやや多い。これは、ブリージングによる影響と、硬化後の余剰水の下降によると思われる。(7)オートクレーブした供試体中のCl-は、サイクル数の増大に伴い供試体内部に移動する。(8)オートクレーブ後の発錆の有無によるCl-量の比較では、発錆が認められた部分がやや多い。 |
PDFファイル名 | 012-01-1071.pdf |