種別 論文
主題 3次元BEM解析に基づいた自然電位法による鉄筋腐食の評価に関する研究
副題
筆頭著者 乙丸正彦(熊本県)
連名者1 大津政康(熊本大学工学部)
連名者2 村上祐治(間組技術研究所)
連名者3 山下英俊(間組技術研究所)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 539
末尾ページ 544
年度 1990
要旨 はじめに
コンクリート構造物は、古くからメインテナンスフリーと言われ、永久構造物と考えられていたが、最近、NHKの報道以来、コンクリート構造物の早期劣化現象が報告され、社会問題となっている。中でもコンクリートの中性化は、鉄筋腐食の始まりの現象であり、塩害、中性化を含めると、全体の45%程度になり、劣化現象の大半を占めている。鉄筋コンクリート部材の鉄筋腐食機構については、既に多くの知見が得られているが、維持管理面からコンクリート構造物の腐食の早期検出法の確立とその際の寿命予測並びに適切な補修、補強法の決定が重要になっている。このような現状を踏まえて、本研究では、鉄筋コンクリート部材内の鉄筋腐食について、非破壊検査である自然電位法を用いた評価と、さらにコンクリート供試体モデルの3次元BEM解析による比較検討を行なった。コンクリート中の鋼材腐食は、コンクリート内部から構造物の劣化を進行させるため、その進行がコンクリート表面に現れた時点では、すでにその構造物の耐久性はかなり低下していると考えてよい。従って、鋼材腐食対策を、劣化現象が目視観察される以前に講ずるためには、コンクリート中の鋼材腐食劣化の早期検出の非破壊検査手法の確立が不可欠となる。自然電位法は、このような鋼材腐食の非破壊検査手法として、電気化学的手法の中でもっとも検討が進められているものである。自然電位とは、金属がその存在する環境で維持している電位のことであり、腐食のアノード反応とカソード反応による電位の分極から定まる。この分極の過程は環境や腐食の状況に影響を受け、時間的にも変化するため、これらの変化にともなって自然電位も変化する。自然電位法とは、基本的にはこのような電位の変化から鋼材の腐食を判定する方法である。
結論
本研究では、鉄筋コンクリート構造物を破壊せずに内部の腐食状況を診断する非破壊検査法として、研究が進められている自然電位法に着目し、BEMを適用した鉄筋上の電位分布を求める手法について考察した。このことから、次のようなことが明らかになった。(1)コンクリート表面の自然電位を測定し、それを基にBEMで解析することによって内部の腐食状況を推定することが可能となった。(2)RC単鉄筋供試体において、BEM逆解析により得られた鉄筋の軸方同の腐食状況は軸方向中心に対して逆対称なマクロセル反応を暗示するような分布となった。(3)自然電位法による測定は、かなりの誤差を生じ、外部環境や測定方法などによって値が変わってくる。したがって、鉄筋の腐食診断においては腐食前後の電位差などの相対的な基準で判断した方が妥当であると考えられる。(4)RC床版供試体における鉄筋の腐食は、全ての鉄筋にわたって均一に進行することが認められた。そして、鉄筋上の電位分布は単鉄筋モデルとかなり異なり、腐食の進行に配筋の影響のあることが認められた。さらに今後は、コンクリート中の鉄筋の位置、あるいは深さ等と自然電位との関係を検討し、非破壊検査法としての自然電位法を確立させるとともに、他の非破壊検査法との比較を行ってみる必要があると考えられる。
PDFファイル名 012-01-1092.pdf


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