種別 論文
主題 PIC版複合部材の屋外暴露に関する研究
副題
筆頭著者 新藤竹文(大成建設技術研究所)
連名者1 松岡康訓(大成建設技術研究所)
連名者2 内藤隆史(大成建設技術研究所)
連名者3 横田和直(大成建設技術研究所)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 645
末尾ページ 650
年度 1990
要旨 はじめに
コンクリートはセメント・水・骨材等の比重の異なる種々の材料を組み合わせた複合材料であるため、硬化するまでの製造・運搬・打込み・締固め等の各施工段階において材料分離を生じ易く、構造物全体として均等な品質を確保することが困難な材料である。さらに、通常の施工の場合、コンクリート打設後の養生方法・養生期間に多くの制約を受け、材料自体が本来有するはずの性能が不完全なまま、日光の直射・風雨等の乾湿繰返しや季節による外気温度の変動等さまざまな劣化環境にさらされている場合が多い。このような施工段階における材料分離および養生不足による材料自体の不完全さ等に起因するコンクリートの品質低下は、暴露環境下での乾燥収縮を助長し、止水性能をはじめとする種々の耐久性能を著しく低下させる結果となる。筆者らは、コンクリートの表層物性を改善することにより構造物の耐久性を向上させることを目的に研究を進めてきたが、ここに、優れた緻密性能・止水性能を有するポリマー含浸コンクリートの版(以下、PIC版と略す)を打込み型枠として構造物の表面に配置してコンクリートを打設し複合一体化する工法(以下、PIC版工法と略す)を開発するに至った。本工法の特徴は、緻密なPIC版をコンクリート表面に配置することによって、腐食因子の侵入を防止し、さらに、内部コンクリートからの水の発散を抑制し乾燥収縮の少ない理想的な養生状態を確保し、コンクリート構造物の高品質化を図ることに集約される。本工法が腐食因子の侵入に対して極めて高い遮蔽性能を有し、防食性能をはじめとするコンクリート構造物の耐久性を大幅に向上させることは既に報告したとおりである。本報告は、PIC版工法における「内部コンクリートの品質」に着目して行った、実大規模試験体の屋外暴露試験についてまとめたものである。
まとめ
本試験の結果、PIC版を構造物の表面に配置することによって、乾燥収縮等に起因する寸法変化は1/3〜1/4に低減し、長期の暴露を通じて優れた寸法安定性を確保することが可能であり、また、暴露の影響が直接作用する表面部のコンクリートを理想的な養生状態で保護することでコンクリート自体の品質を十分に向上させ、長期間の暴露環境下においても安定した止水性能が得られることが実証されたものと言える。また、本試験により表面部の鉄筋が止水性能に及ぼす影響についても知見を得ることができ、従来の無筋で小試験体を用いた室内実験では不十分であった実環境下での実構造物の耐久性について適確な評価が行えたものと結論される。
PDFファイル名 012-01-1110.pdf


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