種別 論文
主題 粗骨材がダム用コンクリート強度特性に及ぼす影響
副題
筆頭著者 安藤兼治(中部電力電力技術研究所)
連名者1 張剣(名古屋工業大学大学院)
連名者2 梅原秀哲(名古屋工業大学工学部)
連名者3 吉田弥智(名古屋工業大学工学部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 721
末尾ページ 726
年度 1990
要旨 まえがき
コンクリートへの骨材の影響に関する研究はこれまでに数多くなされているが、そのほとんどがGmax(粗骨材の最大寸法)が40mm以下についての研究であり、ダムコンクリートなどを対象としたGmaxが40mm以上の配合ではほとんど行われていない。またダムコンクリートの品質管理手法として強度試験が行われているが、Gmaxが40mm以上の場合はウェットスクリーニングを行って供試体を作製している。特に骨材の影響が大きいダムコンクリートにおいてウェットスクリーニングを行うことは、40mm以上の粗骨材の影響が全く反映されないため、ウェットスクリーニングされたコンクリートの品質が、実際のダムコンクリートの品質と相違していると思われる。そこで、これまでにウェットスクリーニングがコンクリートの圧縮強度などに及ぼす影響を粗骨材の最大寸法および単位水量を指標として検討を行った結果、40mm以上のふるいでウェットスクリーニングを行うと、Gmaxが150mmでウェットスクリーニングを行わない場合の圧縮強度およびコンクリート内部の挙動と類似した傾向を示すことが明らかとなった。そしてその原因として、ブリージングによって生じる粗骨材下面の空隙の影響が考えられた。本研究では、ブリージングによって生じる粗骨材下面の空隙や粗骨材とモルタルとの付着面に発生するひびわれなどのコンクリート内部の挙動を把握するために、母材コンクリートとGmaxが40mm以上のモルタル製のモデル骨材からなるモデルコンクリートを作製し、モデル骨材の寸法、形状および母材コンクリートの単位水量を変化させることにより、これらの要因がコンクリート内部の挙動やコンクリート強度に及ぼす影響を実験的に検討するとともに、有限要素法を用いた解折を行うことによってコンクリート内部の挙動を解析的に明らかにすることを目的とする。
結論
本研究で得られた結果を要約すると、以下のようになる。1)粒径が80mm以上のモデル骨材を用いたコンクリートは、骨材下部にブリージングの影響により空隙が生じ付着が弱くなることによって、骨材下部のコンクリートにひびわれを生じることが実験および解析により明らかとなった。2)モデル骨材下部のブリージングによる空隙は、コンクリートの圧縮強度に密接な関係があるが、骨材下部の水平および垂直方向の空隙は圧縮強度への影響が小さく、斜め方向の空隙の方が圧縮強度への影響が大きいことが実験および解折により明らかとなった。3)モデル骨材を用いていない供試体は、モデル骨材を用いた供試体よりも圧縮強度が少し大きくなったが、骨材の粒径の大きい方が圧縮強度が低くなるとは必ずしも言えないことが明らかとなった。単位水量の大小が、圧縮強度に及ぼす影響は顕著に現れなかったが、単位水量の増加に伴いモデル骨材下部のブリージングによる空隙が大きくなりひびわれが早く生じるため、骨材を数個配置したものにおいては、強度が低下する可能性があると思われる。4)本研究で用いた有限要素解析手法により、ブリージングによる骨材下部の空隙がコンクリート強度やひびわれ性状に及ぼす影響を十分な精度で予測できることが明らかとなった。今後は、モデル骨材を数個配置した供試体で実験を行うことにより、より実際に近い状態を対象として骨材の寸法、形状、および単位水量が骨材下部のブリージングによる空隙の大きさに与える影響および骨材下部境界面の鉛直圧縮力や摩擦力に与える影響を究明したいと考えている。
PDFファイル名 012-01-1123.pdf


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